"消えた卵の秘密" 第9話
裁きと父の涙
救急とパトカーが到着し、美津さんはストレッチャーに乗せられて緊急搬送されていった。
現には鑑識の警察官が入り、割れたプリンの破片や、蔵庫に残されていた卵のパックが証拠品として次々に押収された。
リビングのソファーで事聴取を受ける私たちのもとへ、警察からの連絡を受けた実の父が、血相を変えてび込んできた。
「茜! 凛! 無事か!?」
普段は静沈着で数のない父が、肩を激しくさせ、取り乱して私のを握りしめた。
「お父さん……私たち、丈夫だから」
警察官から説された事件の全貌——美津さんが実母への嫉妬から毒入りの卵を仕込み、私たちを殺害しようとしていたという事実を聞かされた父は、そのに崩れ落ちるように座り込んだ。
「……俺のせいだ……。俺が、あんな化け物をに引き入れてしまったばかりに……おたちを危険な目に遭わせてしまった……」
父は顔を両で覆い、肩を震わせて慟哭した。男親ので男つ、切に育てげてきた娘と孫を、自分の軽率な再婚によって殺されかけたのだ。その苦しみと自責のは、計りれないものだった。
「お父さんのせいじゃないよ。お父さんも騙されていたんだから」
私が父の背にを当てると、凛もさなで父の膝をとんとんと叩いた。
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「じいじ、泣かないで。凛、元気だよ」
孫の温かいに触れ、父は涙で濡れた顔をげ、凛を抱きしめて何度も「すまない、すまない」と繰り返した。
そのの警察の捜査により、美津さんの自宅の物置から、農業用の劇物指定されているリン系農薬の瓶と、卵の殻に微な穴をけて毒物を注入するための注射器が発見された。
美津さんは命を取り留めたものの、自らが摂取した毒物による篤な内臓疾患と神経麻痺が残り、涯にわたって子と寝たきりの活を余儀なくされることとなった。
当然のことながら、退院と同に殺未遂罪で正式に逮捕・起訴され、医療刑務所へと収監される運びとなった。
父は即座に弁護士をてて婚調を申して、美津さんとの婚姻関係は法に完全に解消された。父が美津さんに与えていた財産や居もすべて差し押さえられ、彼女にはたい病の井を見つめ続けるだけの余が残されたのだった。
すべての続きが段落した週末。
久しぶりに族だけの平穏が戻ってきたがのリビングで、私たちは夕飯の卓を囲んでいた。
テレビからはのないバラエティ番組の音が流れ、窓のには静かな空が広がっている。
「……凛、おいで」
陽斗が座布団のに正座し、改まった顔で凛を招きした。
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凛が議そうにトコトコとづくと、陽斗は両を膝に置き、娘に向かって々とをげた。
「凛。パパとママの命を救ってくれて、本当にありがとう。おがで卵を捨ててくれていなかったら、俺たちは今頃、ここにいられなかった。……本当に、よく頑張ったな」
私も隣に並び、凛のを両で包み込んだ。
「凛、ありがとう。そして、気づいてあげられなくて、ったりして本当にごめんね。凛は世界で番優しくて、賢い、私たちの自の娘だよ」
両親から真っ直ぐに謝を伝えられた凛は、し照れくさそうにをよじらせたあと、ふっときなため息をついた。
「……はぁーあ」
「え? 何よそのきいため息は」
私がわず笑って尋ねると、凛はしだけ寂しそうに眉をげて呟いた。
「……だってね、凛、ママとおばあちゃんを仲良くさせてあげられなかったなーってって」
その純粋すぎる言葉に、私と陽斗は顔を見わせ、同に目をくさせた。
「あのね、凛。ママはあの、確かにしいおばあちゃんと仲良くなりたかったよ。でもね、族を傷つけようとするようなとは、仲良くなる必なんて絶対にないの」
私は娘の頬にを添え、微笑みかけた。
「ママにとって番切なのは、凛とパパだよ。凛が私たちを守ろうとしてくれたその気持ちだけで、ママは世界幸せなんだから」
「うん! パパも同じ気持ちだぞ!」
陽斗が力く頷くと、凛の顔にパッと満ののような笑顔が戻ってきた。