"消えた卵の秘密" 第2話
義母の話と自然な気遣い
そのの午、夫がリビングでパソコンをいて仕事をしている横で、私は買ってきた苺のショートケーキを切り分けた。
「はい、凛の分ね。パパの半分も乗せたから、きいいちごが個だよ」
「わーい! ママ、ありがとう!」
フォークをに取ってびする凛を、ソファの端から陽斗が涙目でじっと見つめていた。
「うう……美しそうだなぁ……。俺もでいいからべたいよ……」
の男が本気でしょんぼりしている姿に、私は苦笑いを浮かべた。
すると、凛がフォークにさなケーキの欠片を乗せ、そっと父親の元へと差ししたのだ。
「……パパ、はい。あーんして」
「えっ!? パパにくれるの?」
「うん。ママには内緒ね」
凛は差し指を元に当てて、いたずらっぽく笑った。
「あ、ありがとう凛……! うう、なんて優しい娘なんだ、染みるよ……!」
びでケーキを頬張る夫を見て、私はやっぱり首を傾げた。普段の凛なら、いの張った父親に対しては絶対にべ物を分け与えたりしない。どちらかと言えば「パパはダメ!」ときっぱり突き放す性格のはずだった。
どうして最、こんなに父親に対して妙に気を使っているのだろうか。
そんなことを考えていると、私のスマートフォンが刻みに震えした。
画面に表示されたのは『美津さん』——義理の母の名だった。
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私の実母はに病気でくなり、暮らしがかった父が昨のに再婚した。美津さんは父と同代の穏やかそうな女性で、親戚付きいも丁寧にしてくれる。ただ、しだけ距の掴みどころがないというか、折こちらの様子を過剰に探ってくるような節があった。
「もしもし、お母さん。こんにちは」
『あ、茜さん? こんにちは。急にお話してごめんなさいね。……あのね、昨届いた卵、無事に受け取れたかしら?』
受話器の向こうから、どこか落ち着かない、な声が聞こえてきた。
「はい! いつも美しい卵をたくさん送ってくださって、本当にありがとうございます。助かってます」
『そう、よかったわ。……それでね、おはどうだったかしら? もうべてみた?』
「あ、それが……すごく美しくて。族みんなであっというに全部べちゃったんです」
まさか「夫がで全部平らげた(あるいは消えた)」とは言えず、私はとっさに適当な嘘をついてお茶を濁した。
すると、話の向こうの美津さんが、急に息を呑むような気配配を見せた。
『え……? 全部、べたの……?』
「ええ、もうペロリと」
『……そう。それで、みんなの様子はどうかしら? 何か……変わったことはない?』
「変わったこと、ですか? いえ、みんな『すごく鮮で美しいね』ってびしてましたよ」
『……には? 本当に、何ともないの?』
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探るような、ひどくい調だった。配しているというよりは、何か特定の反応を待ち構えているような、気な違が背筋をかすめる。
「にはって……何かあったんですか?」
私が議にって聞き返すと、美津さんはハッとしたように引きつった笑い声をげた。
『あ、ううん! 何でもないのよ! ただね、もっとくならなきゃダメだとって……』
「く、ですか?」
『あ、いや! ほら、頃は邪も流ってるでしょう? だから、みんなにくて健康な体になってほしいのよ。卵は栄養満点だからね。……またいうちに、たくさん持っていくからね』
「あ、はい……ありがとうございます」
通話が切れた、私はスマートフォンを見つめたまま、しばらくち尽くしてしまった。
「くならなきゃダメ」——あの言葉の自然な響きが、の奥に妙にたく残り続けていた。