みかん小説
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"姑から受け継いだしゃもじ" 第10話

あのの若い姑

としが寝込んでから、ふみの暮らしは介護をに回るようになった。朝はいつも通りのことを済ませ、事を用し、薬のを確かめる。夜に起きてをませたり、布団を直したりするも増えた。

所のからは、「お嫁さんがよく見てあげているね」と言われた。ふみは「族ですから」と答えたが、介護が楽だというではない。疲れて眠れない夜もあったし、同じ質問を何度もされて、わずい調になってしまったこともある。

そんなとき、としは決まって「悪いね」と言った。

「謝らないでください。私ができることをしているだけです」

「でも、あんたは仕事ものこともあるだろう」

「昔、お義母さんも私の子どもを見てくれました。今度は私がする番です」

としは、ふみのを見つめた。節くれち、指先が荒れている。若い頃から農作業や事を続けてきただった。

「そう言ってもらえると、気が楽になるよ」

のある朝、ふみはいつものように布団をえた。窓のにはくが積もっている。としは眠ったままで、呼吸も静かだった。ふみが声をかけても、返事はない。

族を呼び、医師にも来てもらったが、としはそのまま息を引き取った。い、の台所を守ってきたが、静かにいなくなった。

は、母の枕元で黙ってうつむいていた。

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正と幸子も駆けつけ、孫たちは祖母のを握って泣いた。ふみは、何をすればいいのか分からないまま、台所へった。葬儀に来るたちへすお茶や事を用しなければならない。体は疲れているのに、はいつものようにいていた。

夜、ひとりになった台所で、ふみはとしが使っていた湯みを見つけた。棚の奥に置かれている。洗ってあるのに、取っの辺りにはい茶渋が残っていた。

ふみは湯みをに取り、しばらく眺めた。それから、そっと棚へ戻した。

葬儀のあと、正が母の写真を理していると、嫁入りのの写真がてきた。

「ばあちゃん、若いな」

「そうだね。私が嫁に来た頃と同じくらいのだったんだよ」

ふみは、写真ののとしを見つめた。お見いは度だけだった。らないに嫁ぎ、慣れない台所にち、姑の言葉に傷ついたもあった。それでも、としと同じ根ので暮らし、子どもを育て、いを緒に過ごした。

「お母さん、ばあちゃんと仲良くなれてよかったね」

幸子が言った。

「はかかったけどね」

ふみはそう答えた。くにいたが、静かにうなずく。

翌、昭という代が終わった。ふみは歳だった。嫁入りした頃とは、のもの様子もきく変わっていた。子どもたちは自分のを歩き、台所にはしい具が増えた。

それでも、毎朝の噌汁の匂いは変わらずに満ちていた。

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