"姑から受け継いだしゃもじ" 第8話
おしんを見ながら
昭の、朝の連続ドラマで『おしん』が始まった。形の貧しいにまれた女が、奉公にされながらきていく話だという。ふみは、初回を見たあと、としと緒に次のもテレビのに座った。
「この子、まださいのに、をるのかい」
としは画面を見つめた。おしんが泣く面になると、としも目元を押さえる。ふみも、らないうちにぬぐいを握りしめていた。
「自分のさい頃をいすね」
としが言った。
「お義母さんも、奉公にたんですか」
「私は奉公にはなかったけど、子どもの頃からのことをしていたよ。学より、畑や台所の方が先だったね」
「私も、嫁に来た頃は何も分かりませんでした」
「そうだったね。ずいぶん叱ったよ」
としは、困ったように笑った。ふみもつられて笑う。
「私も、お義母さんの言うことが怖くて、何をしても違っている気がしていました」
「ごめんね。私も、そうやって教わったから、それが普通だとってたんだよ」
「でも、今は違います」
「今は違うね」
は画面に目を戻した。おしんがつらい目に遭うたびに、としは「かわいそうに」とつぶやく。ふみは、その声のに、昔の自分のことをねているのをじた。
ドラマが終わると、はしばらくそのまま座っていた。では、のが戸を揺らしている。
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「ふみは、うちに来てから、どんな気持ちだった?」
としが尋ねた。
ふみは、すぐに答えられなかった。に来たばかりの頃は、毎朝がだった。誰よりく起き、族の事を用しても、できて当たりのように受け取られる。失敗すれば注され、実に帰りたくても、そう簡単には帰れない。けれど、子どもがまれ、としと緒にを越し、族のびもしみも分けううちに、しずつ居所ができていった。
「最初は、ここが自分のになるとはえませんでした。でも、今はここが私のです」
としは、うなずいた。
「そう言ってもらえるなら、よかった」
「お義母さんも、私のことを族だとってくれていたんですか」
「当たりだろう。最初から、そう言えばよかったね」
その言葉に、ふみは胸がくなった。族だとっていても、それをにしなければ伝わらない。いをかけて、はようやくそのことを分かりえたのかもしれない。
そのの夕方、ふみは台所で夕飯を作った。としは座敷で聞を読んでいる。鍋から湯気ががり、煮物の匂いがのに広がった。
「お義母さん、見をお願いします」
ふみが皿を差しすと、としは箸を取った。
「うん。ちょうどいいよ」
「よかった」
「私が作るより、あんたのの方が好きになってきたね」
「そんなことを言われると、照れます」
「本当のことだよ」
その晩、ふみは夫と子どもたちに、今のことを話した。正も幸子も笑いながら、母と祖母が並んでドラマを見ている様子を像した。としは「そんなにげさな話じゃない」と言いながら、しうれしそうだった。