"姑から受け継いだしゃもじ" 第4話
夫のいない
子どもがになってから、のはより忙しくなった。正は歩き始めたばかりで、幸子はまだ母乳をんでいる。ふみは朝の支度をしながら、泣く子を背負い、もうのを引いてのをき回った。
としは厳しいだったが、孫の世話をよくした。ふみが田んぼへるときは、幸子を抱いて見ていてくれる。正がをしたには、薬をもらいにの診療所まで連れていった。
「今は田んぼのことはいい。子どもを見てな」
「でも、私がかないとがりません」
「子どものは、田んぼのとは違うんだよ。今そばにいてやりな」
ふみは、その言葉に甘えてに残った。としが自分を気にかけてくれていると、しずつ分かってきた。だが、姑と嫁という関係が急にくなるわけではない。としのやり方にをすことはできず、ふみは相変わらず台所の決まりに従っていた。
昭を過ぎた頃から、の男たちはになると京や阪へ稼ぎにくようになった。農閑期の仕事だけでは、族を養うのが難しかったからだ。も、所のたちと緒に稼ぎへることになった。
「までには戻る。子どものことは頼むな」
発の朝、は荷物を持ってをた。ふみは幸子を抱き、正の肩を支えながら見送った。
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汽がざかっても、子どもたちはまだ父親が戻らないことを分かっていない。正は「父ちゃんはどこ?」と何度も聞いた。
「お仕事だよ。が解ける頃には帰ってくるからね」
「いつ?」
「になったら」
ふみはそう答えたが、までの々がどれほどいかっていた。
夫のいない、ふみととしはでかきをした。根から落ちたをどかし、ののを作る。腕が痛み、息がくなる。としは作業のに、ふみへい茶を差しした。
ある晩、はこたつに入り、縄をなっていた。子どもたちは寝ている。としはをかしたまま、ぽつりと言った。
「私も嫁に来たばかりの頃は、毎晩布団ので泣いたよ」
ふみは顔をげた。としが自分の話をするのは珍しい。
「のことは何も分からないし、姑には毎られるし。実に帰りたいとっても、簡単には帰れなかった」
「お義母さんも、そうだったんですか」
「あんただけじゃないってこと」
としはそれ以話さなかった。でも、ふみの元にあった縄を取り、ほどけかけたところを直してくれた。ふみはそのを見つめた。いつも自分を急かすが、今はし違って見えた。
その、ふみは初めて、姑もまた誰かのへ嫁いできたの若い女性だったのだとった。