"竹林の向こうの白衣" 第7話
初療の対面と徹なメス
自ドアがにき、吹き込んできた真の夜がの裾を激しく揺らしました。
ストレッチャーの輪がけたたましい音をててアスファルトを滑り、救急救命センターの初療へと滑り込んできます。 救急隊員の張り詰めた声が、処置の蛍灯のに響き渡りました。
「歳男性、藤井聡(ふじい・さとし)さん! 自宅リビングで突然倒れ、肢の完全麻痺と度の構音障害を発症! 血圧百の百、拍数百、呼吸数回! 発症から分が経過しています!」
「ただちに初療ベッドへ移乗します! 、の、!」
護師たちとともにストレッチャーから処置台へ患者の体を抱えげた瞬、私の線はベッドに横たわる男性の顔に固定されました。
髪が目ち、頬が削げてく刻まれた皺。 けれど、その筋の形、い唇、眉ののさなほくろの痕。
(……お父さん)
に私を奥の療養施設へ置きりにし、度も迎えに来なかった実の父親でした。
「先! バイタル確認してください!」 サブの護師の鋭い声に、私はハッとに返りました。
のが瞬、真っになりかけました。 けれど、次の瞬には、私の胸の奥に徹な氷の刃のような静けさが戻っていました。
今の私は、親に捨てられて泣いていたあのの歳の女ではありません。
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数え切れないほどの夜を徹し、何百もの命と向きってきた脳神経科医です。
目のにいるのは、かつて自分を捨てた父親であるに、今まさに脳の血管が詰まり、分単位で脳細胞が滅しつつあるの篤な患者でした。
「瞳孔同なし、対反射迅速。識レベルJCS桁の。肢のMMTはゼロ!」 私はくペンライトを瞳孔に当て、瞳の反応を確かめました。
「点滴ルート確保、直ちに造CTとMRIへ搬送します! 脳脈の主幹部閉塞の能性がいです。カテーテルへ連絡して、緊急血栓回収術のオンコール体制を敷いてください!」
私の指示がぶと同に、スタッフが斉にきしました。 ストレッチャーを押しながら廊をる最、ベッドのの父が、苦しげにく目をけました。
焦点の定まらない濁った瞳が、必に私の顔を彷徨います。 酸素マスクのから、空気の漏れるような掠れた声がこぼれました。
「……て……あ……ら……?」
麻痺した舌で、途切れ途切れに発せられたその音。 かつて私が捨てた、あの古い名でした。
「喋らないでください。息をく吸って」 私はを完全に殺した、の医師としての平坦な声で返しました。
「もう丈夫ですよ。すぐに処置をしますから」
その言葉を聞いた瞬、父の引き攣っていた眉の力が、ふっと微かに緩んだように見えました。
CTのい扉が閉まる音を聞きながら、私はのポケットので、震えそうになる自分のをく握り締めました。