"腎臓をあげた私に離婚届――夫の隣には若い女" 第4話
玄関の来訪者と勝ち誇った笑み
「お役御免……?」
その言葉が、私のの奥で反響した。
りよりも先に、呆れとめきったが胸の底から湧きがってきた。
夫が倒れたあのから、自分の体を削ってまで支えてきた々。痛みに耐えながら腎臓を差しし、減塩の気ない事を啜りながら、それでも族を守ろうと必に働いてきたこの。
そのすべてが、目のの男にとっては「都のいい踏み台」に過ぎなかったのだ。
「分かったわ」
私は震えるでペンを取りげ、婚届の妻の欄に、淀みなく自分の名とを記入した。
「おいおい、あっさり認めるんだな。まあ、おも自分がまといだって自覚があったんだろ」
英司は満げに婚届を取りげ、私の署名を眺めてニヤニヤと品な笑みを浮かべた。
「じゃあ話はい。お、今に荷物をまとめてこのからていけよ。このを継ぐのは男の俺なんだからな」
「ていくのは構わないわ。でも、亜美は私が連れてく」
私が毅然と言い放つと、英司の眉がつりがった。
「はあ!? ふざけんな! 亜美は俺の血を引いた子供だぞ! おでていけって言ってんだよ!」
「今までろくに亜美の面倒も見ずに遊び歩いていたが、何を言っているの!? あなたが鳴るたびに、あの子がどれだけ怯えているか分かっているの!? あなたなんかに、亜美を渡せるはずがないでしょう!」
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「うるせえ! 父親の俺に親権があって当然だろ! ごちゃごちゃ言ってないで、さっさとで消えろ!」
英司が激昂し、私の腕を掴んで無理やり引き倒そうとした、そのだった。
ガチャリ、と玄関の引き戸がく音がした。
「ただいま……って、ちょっとあなたたち、何やってるの!? 所に声が響いてたわよ!」
買い物袋を両に提げた義母の幸代さんが、血相を変えてリビングへび込んできた。
しかし、驚いたのはそれだけではなかった。
義母のすぐろから、見らぬ若い女性が、慮するもなくリビングへとを踏み入れてきたのだ。
代半か、せいぜい半ばに見える派な女性だった。るく染めた巻き髪に、のいブランドもののワンピース。にはさなブランドバッグを提げ、やたらといの匂いを漂わせている。
「お母さん、そのは……?」
私が息を呑んで尋ねると、義母は困惑した表で息をえた。
「それがね、スーパーから帰ってきたら、玄関先で誰かを待っている様子だったのよ。声をかけたら『英司さんのりいです』っておっしゃるから、こんな暑いで待たせるのも悪いとって、にがってもらったんだけど……」
その瞬、英司の顔からサーッと血の気が引いていった。
「お、お……! なんでのまで入ってきてんだよ! で待ってろって言っただろ!」
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英司が狼狽して叫ぶと、その若い女性はくすくすと馬鹿にするように笑い、英司の隣へつかずれずの距で寄り添った。
「あらぁ、お母様ががっていいっておっしゃったからぁ。それに、もうすぐ婚するんでしょ? をていくに、どんな病な奥さんなのか、目お顔を見ておこうとって」
女性の目は、私の顔からむくんだ元までをねめ回すように舐め、あからさまな侮蔑の笑みを浮かべていた。
「はじめましてぇ。英司さんとお付きいさせていただいてる、ミカっていいます。英司さんから聞いてましたよぉ? 病気で寝たきり同然で、事もまともにできないお荷物奥さんだって。病の介護なんて、英司さんもですよねぇ」
勝ち誇ったように胸を張る若い女と、気まずそうに目を泳がせる夫。
すべての点と線が、私のので本に繋がった。
頻繁な、理由のない朝帰りの数々。
夫は、私の腎臓で健康を取り戻したそので、この若い女と倫を楽しみ、妻を「病気のまとい」に仕てげて追いす計画を練っていたのだ。