"五歳の母ちゃん" 第6話
見える
から紹介された男は、駅裏のさな雑居ビルに事務所を構えていた。名は黒田。鏡をかけ、齢の分からない顔をしている。
「子どものに、くなった母親の記憶がある。そういう相談か」
俺が事を話すと、黒田は面倒そうに腕を組んだ。
「話だけなら、よくある。親に似た子どもが、族の話を聞いて真似をすることもある」
「でも、族しからないことを言うんです」
「それを確かめてほしいのか?」
「はい」
黒田はきく息を吐いた。
「俺は暇じゃないんだ。こういうことに関わるのは、面倒が増えるだけだぞ」
「は、あなたなら分かると言ってました」
「は、俺に厄介ごとを押しつけるのがうまいんだ」
そう言いながらも、黒田は子からちがった。
「その子に会わせろ。ただし、俺の言うことを聞け。遊び半分で扱うな」
に来た黒田は、リサと向かいって座った。楓は俺のろに隠れている。
「名は?」
「リサ」
「はいくつだ」
「歳」
「好きなべ物は?」
リサは考え込んだあと、「プリン」と答えた。けれど、すぐに首を傾げる。
「でも、母ちゃんはプリンより茶碗蒸しが好きだった」
「の記憶が混ざってるのか」
黒田はリサの目を見て、い声で何かをつぶやいた。部の空気が、すっとたくなった気がした。リサの肩がさく震える。
「やめて!」
楓が叫んだ。
「丈夫だ。
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し確かめるだけだ」
黒田は目を閉じたまま、しばらく黙っていた。やがて彼の眉にいしわが寄る。
「違いない。世の記憶がある」
「本当に?」
「普通のい込みじゃない。おの母親の記憶が、この子のに残っている」
俺は、息を止めた。
「じゃあ、あの子は母ちゃんなんですか」
「そう単純な話じゃない。この子はリサだ。今のをきている。だが、世の記憶がすぎるせいで、リサ自の格を押しのけ始めている」
「押しのけるって……」
「このままめば、リサとしての記憶や気持ちがれていく。やがて、世の母親だけが残るかもしれない」
楓が俺のをく握った。リサは、しそうに笑った。
「やっぱり、そうなんだね」
「自分でも分かってたのか?」
「最、リサちゃんのことがくなってた。好きだったお形の名も、保育園のお友だちの顔も、いせないときがあるの」
「元に戻す方法は?」
黒田はし考え、答えた。
「記憶を消すしかない。世の記憶だけを切りせば、この子はリサとして戻れる」
「母ちゃんの記憶を消すってことか」
「そうだ」
黒田は計を見た。
「今夜のまでに決めろ。それを過ぎると、どちらの格が残るか分からなくなる」
俺は、リサを見た。母に会えたとった気持ちと、この子を失う恐怖が、胸のでぶつかっていた。