"五歳の母ちゃん" 第5話
リサのにいる
遊園から帰った翌、カフェのに呼び止められた。
「シンジ、し話がある」
は閉の内で、伝票を片付けながら言った。
「この、楓ちゃんとリサちゃんを連れて遊園にったんだって?」
「はい。美咲から聞いたんですか」
「美咲が配してた。リサちゃん、遊んでいるずっと君を母親みたいに呼んでたそうだな」
「逆ですよ。あの子が自分を俺の母親だと言ってるんです」
は眉を寄せた。
「そうか。あの子、本当に自分が母親だとい込んでるのか?」
「分かりません。うちののことを、らないはずのことまでっています」
俺がそう話すと、はしばらく黙り込んだ。
「世の記憶って聞いたことあるか?」
「まさか、信じてるんですか」
「信じるかどうかは別だ。りいに、そういう話に詳しいがいる。昔、俺ので議なことがあったときに相談したんだ」
俺は困った顔をした。
「子どもの遊びに付きってるだけかもしれません」
「それならそれでいい。でも、君が気になるなら話を聞いてみたらどうだ」
俺は返事をしなかった。リサに母の記憶があると認めることも、ただの遊びだと決めつけることもできなかった。
その晩、楓が眠ったあと、リサは居で母の写真を見つめていた。
「何をしてるんだ」
「この写真、いい顔してるね」
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「母ちゃんの写真だからな」
「そうだね。若い頃の写真だね。お父さんが撮ってくれたの」
「……それもってるのか」
「シンジがまれるに、へったときの写真だよ。がくて、髪がぐちゃぐちゃになっちゃった」
母は、俺がまれるの話をあまりしなかった。その写真を見せられたときも、父が撮ったということしか聞いていない。
「どうして、そんなことまで覚えてるんだ」
「覚えてるからだよ。ずっと緒にいたんだから」
俺は、リサの隣に座ることができなかった。
「君は、リサちゃんなんだろ」
「そうだよ」
「なら、君自のことを話してくれ。好きなべ物は? 保育園で仲のいい子は?」
リサはし困った顔をした。
「うーん……分からない。そういうのは、リサちゃんのことだよね」
「そうだ。君のに、リサちゃんの記憶はあるのか?」
「あるよ。でも、母ちゃんの記憶の方がきいの。どんどん増えてきて、リサちゃんのことが見えにくくなってる」
その言葉に、俺の背筋がえた。
「どういうだよ」
「名も、好きなものも、しずついせなくなってきた。リサちゃんが何を考えてるのか、分からなくなるときもある」
「そんなの、だめだろ」
「でも、私はシンジと楓に会いたかったんだよ」
リサは笑った。けれど、その目にはが浮かんでいた。
「母ちゃん、に会えて嬉しいよ」
俺は、何も言えなかった。
彼女ので何が起きているのか、確かめる方法が必だった。