"結婚式に来ないと怒鳴る義母→義父「もう会場にいるぞ?」" 第9話
勘違いの呈と消えた母親
「私はちゃんと会にいるわよ! 藤井の結婚式のにいるの!」
受話器の向こうで、義母は自信満々に声を張りげました。 控のに、スピーカーを通した義母の声が虚しく響き渡ります。
義父はく溜息をつき、静かに問いかけました。
「なら、今すぐ控に入ってこい。親族も郎婦も、全員ここに揃っているぞ」
『え……? そ、そんなはずないでしょ。私、さっきからずっとロビーで待ってるのに……』
受話器の向こうで、ヒールの音が慌ただしくカツカツと鳴り響きました。 義母がホテルのスタッフを呼び止める声が、はっきりと漏れ聞こえてきます。
『ちょっとスタッフさん! 郎婦の控はどこかしら?』 『控でしたら、あちらの廊の奥でございますが……ところで、お客様はどちら様でしょうか?』
義母はを鳴らし、誇らしげに胸を張って答えました。
『郎の母親よ! 藤井の母です!』
すると、受話器の向こうのスタッフが、ひどく困惑したような声をげました。
『……はい? 藤井様のご披宴の郎のお母様なら、先ほど控に入られましたが……』
『はあ!? 何を言ってるのよ! 郎の母親はこの私よ!』
受話器の向こうの混乱ぶりが、に取るように伝わってきました。 義母は再び受話器に向かって喚き散らしました。
『ちょっとあなた! どういうことなのよ! あなたたちは本当にそこにいるの!?』
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義父は眉を指先で押さえ、呆れ果てた声で言いました。
「だから、最初からここにいると言っているだろう。……お、体どこのホテルにいるんだ?」
『どこのホテルって……決まってるでしょ! 駅の、ホテルパークグリーンよ!』
その瞬、控にいた全員が息を呑みました。 郎の陸さんが、わず両で顔を覆って呻きました。
義父が、くたい声で宣告しました。
「……お、会を違えているぞ。今の式は、郊のホテルパークガーデンだ」
受話器の向こうが、ピタリと静まり返りました。 針が落ちても聞こえるほどの沈黙のあと、掠れた鳴ががりました。
『……え? ほ、ホテルパーク……ガーデン……? グリーンじゃなくて……?』
「そうだ!」 陸さんが義父の隣から、スマホに向かってりを爆発させました。
「母さん、僕は最初からホテルパークガーデンだって何度も言っただろ! 案内状だって、渡しでちゃんと渡したじゃないか!」
『だ、だって……! 流ホテルで盛に式を挙げるって言ってたから、てっきり駅のパークグリーンだと……! っていうか、パークガーデンなんてホテル、どこにあるのよ!?』
「ここからで以かかる、郊の丘のだよ!」
陸さんの容赦ない言葉に、義母の絶望な鳴がなりました。
『い、!? 嘘でしょ!? なんでそんないところで式を挙げるのよ!』
「母さんが、僕たちの話をちっとも聞いてなかったからだろ!」
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陸さんの声には、これまで溜め込んできたりが爆発していました。
「僕もかな子も毎激務だから、結婚式くらいはの喧騒をれて、緑に囲まれたガーデンウェディングにしたいって、何度も話したじゃないか! 母さんは僕たちが式について話すたび、『やっぱり医療関係者同士は格式が事ね』って、自分の見栄ばかり優先して、こちらの話をからへ聞き流していたんだ!」
『そ、それは……! 陸、今から急いでタクシーで向かうから! なんとかを遅らせて! 婦のヘアメイクが遅れてるとか嘘をついて、を稼ぎなさい!』
自分の失態を棚にげ、婦のせいにしてを引き延ばせと命じる義母。 その浅ましい言葉を、陸さんは酷に叩き斬りました。
「そんな嘘、つけるわけないだろ。来賓の方々はもう全員揃ってるんだ。 それに……かな子のヘアメイクなら、とっくに完璧に仕がってるよ」
『は……? 完璧に……?』
「ああ。誠さんが朝くから来て、最に綺麗に仕げてくれたんだ」
受話器の向こうから、息を呑む気配が伝わってきました。