"結婚式に来ないと怒鳴る義母→義父「もう会場にいるぞ?」" 第5話
医者のたい線と、結婚の挨拶
さんからのプロポーズを受け、私たちは結婚の挨拶のために彼の実を訪れることになりました。
さんの実は、県内でも屈指の級宅に建つ、広な本でした。 派な扉をくぐり、入れのき届いた本庭園を抜けて玄関へ向かう取りは、緊張で鉛のようにくなっていました。
事にさんから聞いてはいたものの、藤井の庭環境は、私のような庶民とはむ世界が違いすぎていました。
さんの父親は、同じ総病院で科部を務める権威ある物医師。 歳の弟である陸さんも、同じ病院で働く優秀な若科医。 そして母親である義母は、代々続く名ので、医師の妻としてのプライドを全にまとったような物でした。
「ようこそ、いらっしゃい」
通された広なののには、派な掛け軸と季節のがけられていました。 座卓の座に座る義父は、威厳のある表を崩さず、静かに私を見つめています。 そしてその隣に座る義母は、挨拶の言葉を交わすから、私の着ているワンピースやバッグを、品定めするように舐め回していました。
「初めまして、堀誠と申します。本はおをいただき、ありがとうございます」 私が産の菓子折りを差しし、々とをげた瞬でした。
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義母が扇子をパチンと鳴らし、先でせせら笑ったのです。
「、本気なの? こんな普通の子と結婚するつもり?」
部の空気が、瞬で凍りつきました。
「母さん、失礼だろ。誠さんは僕の切な婚約者だ」 さんがすかさずい調で割って入ってくれましたが、義母は眉ひとつかしませんでした。
「失礼でも何でもないわよ。事実を言ったまでです。 うちは代々続く医者のなのよ。父親も夫も息子も全員が医師。 そんな藤井の男の嫁になるよ? 学病院の護師クラスか、せめて同じ医療従事者の柄の娘でなければ、親戚筋に示しがつかないじゃないの」
義母はたい差しを私に向け、侮蔑を隠そうともせずに言い放ちました。
「あなた、最終学歴は卒なんですってね? 専学をて、ただの髪結い……美容師をやっているとか。 親戚やの先方に、男の嫁の職業を聞かれたら何と答えればいいの? 恥ずかしくてにせやしないわ」
「学歴や職業でを判断するな!」 さんが珍しく声を荒らげ、畳を叩きました。
「誠さんは国資格を持ち、くなったお母さんのをで守っている派な職だ。 を笑顔にし、を支えるというでは、医師の仕事と何ら変わりはない!」
「お医者様と美容師が同じなわけないでしょ! とスッポンよ!」
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義母も負けじと声を尖らせました。
「それに、親御さんもいらっしゃらないんでしょう? 片親で育って、その母親もくなっているだなんて。 寄りもない、資産もない娘が、医者の男にすり寄ってきたとしかえないわ。 どうせの経営にき詰まって、の料をあてにするつもりなんでしょう!」
あまりにも無い言葉の数々に、私の界が悔し涙で歪みそうになりました。 女ひとつで私を育て、誇りを持ってハサミを握り続けていたき母のことまで、踏みにじられたような気がしたのです。
唇を噛み締め、震える拳を膝ので握りしめていると、それまで沈黙を守っていた義父が、々しくをきました。
「……もういい、黙りなさい」
義母がハッとしてを噤みました。 義父は静かに湯呑みを置き、真っ直ぐに私の目を見つめました。
「誠さん。から話は聞いている。 息子の乱れていた活態度が改まり、医師として落ち着きがてきたのは、あなたのおかげだとが言っていた。 ……親がどうあれ、職業がどうあれ、がの伴侶として選んだのなら、私は反対しないよ」
「あなた!? 何を仰っているの!?」 義母が鳴のような声をげましたが、義父はそれをで制しました。
「を支えてやってくれますか、誠さん」
「はい……! 未熟者ですが、精杯、さんを支えてまいります」
私がくをげると、義父はさく頷いてくれました。 こうして、義父の鶴の声でなんとか結婚の承諾だけは得られたものの、義母の瞳の奥には、私に対するどす黒い敵が、はっきりと燃え盛っていたのです。