"出産3日目、1億円の入金直後に夫が離婚届" 第8話
社解任と砂の楼閣
それから週。都にある神ケアフーズの本社ビルでは、臨取締役会が招集されていた。
会議の空気は、張り詰めた氷のようにえ切っていた。
円卓の座に座る直は、苛ちを隠そうともせず、貧乏揺すりを繰り返していた。目のには濃い隈が浮かび、自のスーツはどこか着崩れている。
「ミューラー・アセットからの追加融資が止された件だが、な違いだ。すぐに別の融関から借り入れをうから、業務に支障はない」
直が虚勢を張ってをいた瞬、古参の専務が分いファイルを机のに叩きつけた。
「違い、ですか? 神社、いい加減に誤魔化すのはおやめください!」
叩きつけられたのは、社内監査チームが極秘裏にまとめた内部調査報告だった。
そこには、直が「広報活の接待費」として会社に請求していた数件の領収が、すべて藤田莉奈との私な密会に使われていたというかぬ証拠が列挙されていた。さらに、藤田莉奈が所属するPR会社から届いた『神直社による適切な言および私関係のに対する抗議文』と、担当者交代の通告までが添付されていた。
「こ、これは業務の環で……!」
「業務で泊万円の級ホテルに泊まり、会社の経費で私なと密会していたとでも言うのですか!?」
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専務の声が会議に響き渡った。
「それだけではありません! 最の債権者であるミューラー・アセットから、既の融資千百万円について、ヶの期での括返済を求める通告が届いています。これまでは奥様の会社だからという理由で無利息同然で延されていましたが、社個の背信為により、契約通りの厳格な回収に踏み切られたのです!」
役員たちから、斉に非難の線が直に突き刺さる。
「神社、あなたが妻の資産をアテにして放漫な経営を続けていたツケが、気に回ってきたんですよ!」
「待ってくれ! 俺がこの会社をここまできくしたんだぞ! 俺の経営腕があってこそ——」
「腕ですと!?」別の役員がで笑った。「奥様の会社からの無担保融資という駄を履かせてもらっていたからこそ、も信用していたんです。その梯子を自らしておいて、何を寝言を言っているのですか!」
直はを半きにしたまま、絶句した。
彼はこれまで、会社の成功はすべて自分の才能によるものだと信じ込んでいた。だが、その元を支えていたのは、私が用した全な資という台だったのだ。その台を自分から蹴りばした男に、残された力など何つなかった。
そのの臨取締役会で、決議は満致で決された。
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神直は代表取締役を即座に解任され、業務権限を切持たない平の営業担当役員へと格。私に流用した経費の全額を個の役員報酬から引きで返済させることが決定した。
さらに、任の専務が急遽メインバンクへ駆け込んだものの、側の反応は極めて酷だった。
『社個の祥事でスポンサーから見放された企業に、満額の借り換え融資などせるはずがありません。融資できるのは運転資の千万円が限界です。残りの千百万円は、保資産の売却で賄ってください』
から突きつけられた条件により、直が社運を賭けてめていた方都への規計画は完全に撤回された。購入していた事業用は束文で売却され、神ケアフーズはき残りのために事業規模を半分以に縮せざるを得なくなった。
の社員の雇用こそ守られたものの、直が誇っていた「若きやり社」という板は、音をてて々に砕け散ったのだった。
そのの夕方、私の携帯話に直から着信が入った。
弁護士を通さず、直接かけてくるあたり、彼がいかに追いつめられているかがに取るように分かった。
呼吸をしてから話にると、受話器の向こうから、今にも泣きしそうな、擦り切れた男の声が聞こえてきた。
『……玲奈。頼む、話を聞いてくれ……!』