みかん小説
本棚

"出産3日目、1億円の入金直後に夫が離婚届" 第6話

暴かれた密会と偽りの

翌朝、私は結への授乳を終えると、すぐに弁護士の理恵さんへ話をかけた。

「先、昨夜カードの利用細を半分遡って確認しました」

努めて静な声を保ちながら、百万円に及ぶ異常な支のを伝えた。直が「張」と偽って泊していたと級ホテルの宿泊が完全になっていること、そして私が妊娠ヶのに級宝飾で万円以の買い物が決済されていたことも、すべて系列で理して報告した。

話の向こうで、理恵さんがカタカタとキーボードを叩く乾いた音が響く。

『詳細なデータを今すぐ送っていただけますか? こちらですぐに裏付け調査に入ります』

私は夜のうちに作成しておいたエクセルファイルと、細のスクリーンショットをまとめて送信した。

数分、データに目を通した理恵さんが、く落ち着いた声でをいた。

『これだけの額と利用履歴があれば、貞為を証する力な証拠になりますね。ただ、向こうが「取引先の接待だった」「業務の贈答品だ」と言い逃れをしてくる能性があります。言い訳の余を完全に断つため、相の元を特定しましょう』

「特定できるでしょうか……?」

『神ケアフーズの規模から考えて、直さんが頻繁に入りする取引先か、張先で常に関わる物に絞られます。

広告

興信所と連携して、堀を埋めていきますね』

理恵さんの際は驚くほど迅速だった。

それからわずか、理恵さんから「相が判しました」と連絡が入った。

相の女性は、藤田莉奈(ふじたりな)、歳。神ケアフーズの主取引先であるPR会社で、広報アカウントを担当している女性だった。直の張程と彼女の方張のスケジュールが完全に致しており、宝飾で万円のネックレスが決済されたは、まさに彼女の歳の誕当だった。

さらに、理恵さんは藤田莉奈に対して弁護士名義で事実確認の受任通を送達し、都内の静かなホテルラウンジでの直接面談のをセッティングした。

面談当。私は結を父に預け、理恵さんとともにホテルのラウンジへと向かった。

約束のちょうどに現れた藤田莉奈は、仕てのいいジャケットを着こなした、洗練された雰囲気の女性だった。席に着いた彼女は、倫相の妻に対面しているという負い目をじさせない、どこか凛とした、しかし警戒を滲ませた表で私を見つめた。

「神さんの奥様ですね。……今はおをいただき、ありがとうございます」

理恵さんが名刺を差しし、形式な挨拶を済ませると、本題を切りした。

「藤田さん、単刀直入に伺います。

広告

神直さんとの貞関係について、事実関係の確認をお願いいたします」

藤田さんは膝ので両を揃え、静かに息を吐いた。

「関係があったことは、否定いたしません。……ですが、私は直さんから、奥様ともすでに婚のができていると聞いておりました」

その言葉がた瞬、私と理恵さんはわず顔を見わせた。

「婚にしている、ですか?」

私が静かに問い返すと、藤田さんはし眉をひそめ、真剣な差しで答えた。

「はい。の、張の席で打ちけられました。『夫婦仲は完全にえ切っていて、あとは財産理のタイミングを待って類をすだけだ。子供がまれるには綺麗に清算するつもりだ』と」

の。私がきなお腹を抱え、いつわりと闘いながら、赤ちゃんの無事を祈っていたあの期だ。直はその頃からすでに、しい女性の気を引くために、私を「終わった妻」として仕てげていたのだ。

「藤田さん。私はヶ、彼との娘を産したばかりです」

私の言葉に、藤田さんの表がピシリと凍りついた。

「……え? 娘さん……?」

「はい。直が私に婚届を突きつけてきたのは、私が産して目、まだ傷の痛みで起きがることすらできない産科の病でした」

藤田さんの顔から、急速に血の気が引いていくのが分かった。

唇が微かに震え、目を見いたまま固まっている。

理恵さんがすかさず、テーブルのに族カードの細の束を滑らせた。

「直さんがあなたとの密会やプレゼントに使っていた資は、すべて妻である玲奈さんの個資産から引き落とされていた族カードによるものです。直さんは奥様が番っている産直を図に狙い、さらに奥様の特財産である億円の配当から千万円を奪おうと画策していました」

藤田さんはテーブルのの細から目を背けるようにして、震える両で元を覆った。

「そんな……私には、奥様も納得ので別れる準備をめていると……」

「直は、誰のことも切になどしていなかったのよ」

私はたい声で、直が張り巡らせていた嘘をつに結びつけた。

「私には『夫婦はとっくに終わっていた』と言い、あなたには『妻も婚にしている』と言い、そして自分の母親には『億円が入ったら綺麗に分けて円満に別れる』と嘘をついていた。全部、自分の都のいいように周囲を操るための、そのしのぎの鱈目だったのよ」

藤田さんはく俯き、肩を刻みに震わせ始めた。

彼女にも庭ある男性と関係を持ったというな過失はある。けれど、産目の妻を騙し討ちにしてを奪おうとするような男の片棒を担がされていたとったショックは、彼女のプライドを根底から打ち砕いたようだった。

「……申し訳、ありませんでした」

絞りすような藤田さんの声が、ラウンジの静寂に落ちた。

「慰謝料の請求には、全面に応じます。直さんとは、今この瞬をもって度とお会いしません」

彼女の決断はかった。保というよりも、神直というの底れない卑劣さに触れ、本能な恐怖をじて逃げそうとしているのがありありと見て取れた。

直が最の拠り所として甘いを見ていたのは、こうして呆気なく、瞬で消えったのだった。

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: