"新婚旅行に便乗する義母を空港に残した結果" 第5話
圭司のきなスーツケース
圭司は、私たちの話を聞くと、話の向こうでしばらく黙っていた。
「つまり、母親に空港へ先回りされてるから、夜バスで逃げたいってことか?」
「逃げたいというより、で旅にきたいだけです」
「それ、逃げてるのと同じじゃねえか」
健が「そうかもしれない」と苦笑した。
圭司は阪で雇いの仕事をする予定だった。仕事先へは夜バスで向かい、朝に着いたらそのまま現へくという。借があるから、交通費もできるだけ抑えたいらしい。
「なんか乗れるわけないだろ。そんながあったら返済に回す」
「そうだよな。変なのに悪い」
「別に、旅にくなとは言わねえよ。ただ、今はシフトを代わるのは無理だ。俺も仕事がある」
「分かった」
健は、友に無理を言うのをやめた。その代わり、私たちも夜バスで阪へくことにした。夕方にをて、夜の便に乗れば、翌朝には阪に着く。宿泊先のチェックインまではあるが、駅のくで朝ごはんをべればいい。
「スーツケース、きすぎないかな」
私は、健の同僚から借りた荷物を見た。旅用としては便利だが、夜バスの荷物入れに入るか配だった。
「バス会社に聞いたら、預けられるきさだって。ただ、のためをし減らしたほうがいい」
広告
「じゃあ、このはさいバッグに移そう」
私たちは荷物を分けた。スーツケースには着替えや洗面具、産を入れるための空きも残す。荷物には財布やスマートフォン、切符、み物を入れた。
圭司は、そのスーツケースを見て「そんなにきいの、よく借りたな」と言った。
「同僚が使ってないっていうから」
「じゃあ、俺が阪で使う予定の荷物も緒に入れようかな」
「圭司さんも同じバスに乗るの?」
「俺は別の便だけど、先に預ける荷物があるんだ。現で使う作業着や全靴がかさばるからな」
健は、圭司の荷物を運ぶのを伝うことになった。圭司は借の返済で余裕がない。しでも荷物を減らせるなら助かるという。
「このスーツケース、借り物なんだから、壊さないでね」
私がを押すと、圭司は「分かってる」と答えた。
「俺は荷物を運ぶだけだ。変なものは入れないよ」
その言い方が妙に気になった。
「変なものって?」
「何でもない。具だよ、具」
圭司は話をそらし、仕事に戻っていった。
その夜、私たちは旅の荷造りを終えた。恵子さんからは「、空港にいるからね」とメッセージが届いていた。私は画面を見せ、健に尋ねた。
「本当に返事しなくていいの?」
「返事したら、何にくか聞いてくるよ。今回は、何も言わずにこう」
「でも、あとでられないかな」
「るとう。でも、最初から緒にかないって伝えてある。チケットも買ってないんだから、空港で待っていても乗れないよ」
私は、恵子さんに申し訳ないような気持ちもあった。でも、旅にまで付いて来られるのは困る。健も、今回はできたいと言ってくれている。
翌朝、私たちはスーツケースをに積み、をた。空港へ向かう速とは反対側のをる。ろの席には、圭司の作業着が入ったきな荷物も積んであった。