"正月の高級焼肉、嫁の席だけ外した義母の誤算" 第7話
赤坂の宴と回る伝票
赤坂の個でその夜何が起きていたのか、その詳細を私たちがったのは、すべてが終わったのことだった。
午半、親戚同は予定通りに到着していた。
都内にむ千さんの娘・梨さん夫婦も流し、掘りごたつの広い個には名分の豪勢な菜がずらりと並んでいた。のには正の派なが飾られ、いかにも級らしい格式い空だったという。
義母のさよ子さんは座の真んにどっかりと腰をろし、親戚同を見渡して満げに頷いていた。
「赤坂のこんな派な個なんて、滅に来られないでしょう。今はお正なんだから、皆さん慮しないで楽しんでちょうだいね」
親戚たちが々に「さすが本だ」「すごいだな」と嘆の声をげる、梨さんが議そうに空いている席を指差した。
「あれ? 秀お兄ちゃんと美代ちゃんは?」
義母は扇子をパタパタと仰ぎながら、何でもないことのようにを振った。
「秀はから来るのよ。美代さんはね、お留守番。本もその方が気楽でいいって言うから、でゆっくりさせてあげてるの」
廊で部始終を見ていたさんは、その言葉にさく眉をひそめたが、正の祝いの席で波をてることもできず、元のおしぼりを黙って握り締めるしかなかった。
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やがて運ばれてきた特選牛タンや希部位の盛りわせに、座敷はいに湧いた。ジュウジュウと網ので音をてる極のり肉に、健さんの子どもたちが歓声をげる。
午を回った頃、すっかり嫌になった直子さんがメニューをいて員を呼んだ。
「すみません、追加でこのシャトーブリアンを! それから、この番い赤ワインも本けてください!」
本万千円もするヴィンテージワインの注文に、直子さんの夫である浩さんが青い顔をして声で窘めた。
「おい、直子……そんないもの頼んで丈夫なのかよ」
すると、隣にいた義母がカラカラと笑って割って入った。
「いいのよ浩さん! お正なんだからケチケチしないの! 今は秀が全部持ってくれるんだから、みたいものをみなさい!」
その言を皮切りに、親戚たちのブレーキは完全にれてしまった。
雄叔父さんは級な純米吟醸を次々に注文し、健さんは「秀の奢りなら慮するな!」と子どもたちにカルビや特ハラミを何皿も追加させた。誰もメニューの端にかれた値段など見ようともしなかった。
やがて午半を回り、宴も終盤に差し掛かった頃。
千さんの夫・修さんが、空になったワイングラスを眺めながら義母に尋ねた。
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「さよ子さん、そろそろおきだけど……秀くん、本当に来るのかい? さっき健が、秀くんは帰ったって言ってたけど」
義母はワインをに含みながら、余裕たっぷりに笑った。
「丈夫よ。で話本入れればすぐにんでくるわ。あの子は昔から、私の頼みを度だって断ったことがないんだから」
その異様なまでの自信に、座敷の何かが怪訝な顔を見わせた。
秀くんは本当に、こんな途方もない支払いを承しているのだろうか——。
そんな穏な予が座敷を覆い始めた午分。静かに襖がき、黒を着た員が恭しく礼して入ってきた。
「お客様、変恐れ入りますが、お部のおが迫ってまいりました。本の伝票でございます」
黒い革張りのバインダーに挟まれた伝票が、予約者である直子さんの元に置かれた。
直子さんは笑いながらバインダーをいた。そして次の瞬、その顔から切の表が消え失せた。
「……え?」
直子さんの喉から、引き攣ったような細い声が漏れた。
目にび込んできたのは、見たこともない桁にい数字だった。
『ご請求額:684,200円』
万千百円。
名分の正特別コース代に加え、本万千円のワインが本、追加のシャトーブリアン、級本酒、次々に運ばれた特肉の。
「ちょ……お母さん、これ……」
震えるで伝票を差しされた義母も、その数字を見るなり目を剥いた。
「な、何よこれ! なんでこんな額になるのよ!」
「お母さんたちが頼みまくったからでしょ! どうするのよこれ、私のカードで予約してるのよ!?」
が青ざめて声で揉め始めたその、員が静かに声をかけた。
「松井様、のお客様もお待ちですので、速やかにお会計をお願いできますでしょうか」
追い詰められた直子さんは、震える指でスマートフォンの画面をタップした。
分。
川のマンションで、ホットプレートの片付けを終えてお茶をんでいた夫のスマホが、激しく震え始めた。