"結婚式当日「新婦が救急搬送」私、ここにいますけど?" 第10話
いドレスのまま
健の父親は息子の襟元をつかみかけて、いとどまった。
「婚約者がいるのに、同じ職の女性とも付きっていたのか」
「来だったんだ」
「続けておいて、来で済ませるな」
「父さん、今はそれどころじゃない。あいちゃんを病院へ……」
健がそう言いかけたとき、彼のお腹がきく鳴った。続けて、顔から血の気が引く。彼は腹を押さえ、そのにしゃがみ込んだ。
「おもべたのか?」
父親に聞かれ、健はさくうなずいた。
「ホテルで緒に……。俺も、具が悪い」
話の女性が言っていたあたりが、健にもているらしい。母はスタッフに救急を呼ぶよう頼んだ。式では、招待客が集まり始めている。私は、母の顔を見た。
「お母さん、式は止にして」
母は瞬、目を伏せた。式の担当者としても、母としても、簡単に決められることではない。それでも母は、すぐにうなずいた。
「分かった。会に連絡するね」
母はスタッフに指示をし、招待客への案内を始めた。私はドレスを着たまま、控に残った。健は何度も私に謝った。
「、あとで話をしよう。ちゃんと説するから」
「今、聞いたよ」
「本当に悪かった。こんなことになるとってなかったんだ」
「こんなことって、病院に運ばれたこと? それとも浮気がばれたこと?」
健は返事をしなかった。
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救急隊が来ると、健は担架に乗せられた。健の父親はりを抑えた顔で付き添い、私の父も事を確かめるため病院へくことにした。私はいドレスのまま、母と緒に控に残った。
式は急きょ止になった。招待客には、急な事で挙式を取りやめることだけを伝えた。詳しい理由は伏せるつもりだったが、健の父親が控で息子を問い詰める声や、話の内容を聞いたもいたらしい。
友たちから、配する連絡が次々と届いた。私は「丈夫」とだけ返した。丈夫なわけはなかった。何も緒にいたが、から別の女性と付きっていた。私が式でドレスを選び、料理を決めていた、健はそのと会っていた。
けれど、涙はなかった。しい気持ちがないわけではない。ただ、今は何が起きたのかをので理するだけで精いっぱいだった。
母が私の肩にを置く。
「今は帰りましょう。着替えて、し休んだほうがいいわ」
私はうなずいた。いドレスは、さっきまで幸せのために着るものだった。今は、刻もく脱ぎたいとった。
控でドレスを脱ぎ、髪をほどいてもらっている、母は度も「どうしてこうなったの」とは聞かなかった。母も仕事の責任があり、会の片づけや招待客への説で忙しかったはずだ。
それでも、私のそばをれずにいてくれた。
帰りのので、母はハンドルを握ったまま言った。
「あなたが悪かったわけじゃないよ」
私はうなずいた。でも、健のことを信じていた自分が違っていたのか、何度も考えてしまう。母はそれを察したのか、「信じたことまで、自分を責めなくていい」と続けた。
その夜、私は久しぶりに実の自分の部で眠った。翌朝、目が覚めても、すぐにはけなかった。式のが終わっても、問題は終わっていない。キャンセル料や婚約のことを、これから話しわなければならなかった。