"結婚式当日「新婦が救急搬送」私、ここにいますけど?" 第8話
もうの「さん」
メイクをしてもらい、髪をえ、いドレスに着替えた。鏡のに座ると、母がろから私を見た。
「きれいよ、」
「ありがとう。お母さん、泣くのはまだいよ」
「だって、こうして見ると、本当にお嫁にくんだなってうんだもの」
母の目には、もう涙が浮かんでいた。私もつられて目がくなりかけた、そのときだった。
控のドアがき、スタッフが駆け込んできた。
「変です。婦が事故に遭って、病院へ運ばれたと連絡がありました」
部の空気が止まった。
私は鏡越しにスタッフを見た。
「えっ? 私、ここにいますけど」
スタッフは、ドレス姿の私を見て、言葉を失った。母がすぐにちがる。
「病院からの連絡ですか? 運ばれた方のお名は?」
「さんです。目黒健さんに連絡してほしい、と言っているそうです」
私は息をのんだ。名が同じだけなら、偶然かもしれない。でも、その女性は健を呼んでいる。健はまだ会に来ていない。
母は、スタッフから詳しい内容を聞いた。病院へ運ばれた女性は、腹痛がひどくて救急を呼んだらしい。識はあり、話で「けんちゃんに来てほしい」と繰り返しているという。
「私はここにいるから、その方は別のさんですね」
スタッフはうなずいた。
「おそらく、そうだといます」
母は会責任者に連絡し、病院へもう度確認するよう頼んだ。
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私のスマートフォンには、健への発信履歴が並んでいる。どれもてもらえなかった。彼は今どこにいるのだろう。なぜ、病院にいる女性が健を呼んでいるのだろう。
私はドレスの裾を握りしめた。指先がたくなっていた。スタッフは、まだ違いかもしれないと言った。けれど、のでは答えがかけていた。自分が事故に遭っていないのなら、病院にいる「さん」は別の。健を呼ぶ理由があるだ。
そのとき、廊から慌ただしい音が聞こえた。
「、丈夫か!」
健が控にび込んできた。私の姿を見た途端、彼は目を見いた。それからスタッフの顔を見て、顔を変えた。
「健、やっと来たのね」
私はできるだけ落ち着いた声で言った。
「話にないから配したよ。さっき病院に運ばれたさんが、あなたを呼んでいるって聞いたの」
「え……」
「私じゃないみたい。私はここにいるものね。じゃあ、病院のさんって誰?」
健のがしいたまま止まった。彼は何か言おうとしたが、言葉がてこない。
「何かの違いだよ」
「そうかもしれないね。でも、病院のはあなたを呼んでいると言っていたんでしょう?」
そのとき、控のろから父の声がした。
「健くん。順番に話してもらおうか」