"喫茶ひばりの百円玉" 第3話
制のまま来ないで
に入ると、のに自転が増えた。台のゲームではりず、順番を待つたちが入の横にしゃがみ込む。魚のまで自転がはみし、主から度注された。
「すみません、今すぐどかします」
律子がへて声をかけると、たちは素直にちがった。ただし自転を移させたあと、また同じ所へ戻ってくる。悪気がない分、毎言わなければならなかった。
ある曜、午に、森田啓介という学が来た。洗濯の息子で、律子はさいころから顔をっている。啓介は制の着を脱ぎ、かばんの底から百円玉を取りした。
「啓介、今は塾じゃないの」
「から」
「お母さん、ってる?」
「別にいいじゃん。俺の遣いだし」
律子はそれ以聞かなかった。啓介はゲームを始めたが、を過ぎても席をたない。恵子が計を指さすと、彼は「あと回」と言った。その回が回になった。
、洗濯の美津子がへび込んできた。作業用のエプロンをつけたまま、息を切らしている。
「啓介! あんた、配達を伝う約束だったでしょう!」
啓介は振り返った瞬に敵に撃たれ、画面が暗くなった。
「今、終わったところだよ」
「もから待ってるのよ。お客さんの背広、今に届けなきゃいけないのに」
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美津子は律子に向き直った。
「杉原さん、子どもがこんなまでいたら、声をかけてくれてもいいでしょう」
「塾があるとは聞いたんだけど……」
「聞いたならなおさらよ。ここ、昔はして寄れるだったのに」
言葉の最が、律子にはく残った。啓介を連れてていく美津子に謝ったが、相は振り向かなかった。
翌、学から保護者向けのプリントが配られた。ゲームにになって帰宅が遅くなる徒が増えているので、庭でも注してほしいという内容だった。商では「ひばりが名指しされたらしい」という噂になったが、実際のプリントには名などかれていない。
「誰がそんな話を広めたんだろうね」
恵子が満そうに言うと、律子はプリントを折り直した。
「の名がなくても、困ってるがあるのは本当だから」
律子はに「制のままのご利用はご慮ください」とき、入に貼った。ところが夕方には私に着替えたたちが集まってきた。なかには制のから着を羽織っただけの子もいる。
「これじゃないですよ」
恵子が笑うと、律子も苦笑いした。
その晩、閉に清がレジの横から百円玉を枚取った。律子は見逃さなかった。
「何するの」
「械の具を見る」
「回も?」
「回じゃわからないだろ」
清は真面目な顔で答え、番の台に座った。
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分、律子が片づけを終えて戻ると、清はまだ座っていた。ゲームの横には自分の財布からした貨が積まれている。
「あなた、楽しんでるでしょう」
「いや、仕事だよ。客が何を面がってるからなきゃ」
「それなら私にも教えて」
清は画面を指さし、で説を始めた。敵のき方、撃つ順番、隠れる所。コーヒー豆の産を話すときと同じ顔をしている。
律子はわず吹きした。
「、にいて、そんなに楽しそうにしゃべるの久しぶりに見た」
「何だよ」
「別に。あんたまでなんだなとって」
清は気まずそうに咳をしたが、次の百円玉を入れるは止めなかった。
笑いながらも、律子はだった。ゲームを楽しむを全員悪者にしたいわけではない。清のようなもいる。けれど美津子の困りごとも、富が席を失ったことも、現実だった。
翌朝、商の掲示板にしいが貼られていた。
《ゲーム設置舗について、商役員会で協議します》
署名は、会の坂井宗。計を営む歳の男だった。普段は先の掃除にうるさいくらいで、律子とも来の付きいがある。
その坂井が、の向こうから律子を見つけ、きな声で言った。
「杉原さん。商をゲームセンターにするつもりなら、こっちにも考えがあるからね」
律子は貼りを見げた。
相談ではなく、宣告のように見えた。