"夜勤明けに鍵を替えられた私" 第5話
荷物を取りに戻る
徹がいないを弁護士に確認してもらい、私は自宅へ荷物を取りにくことになった。母が緒にくと言ったが、私は自分で決めた。必なら、友に同してもらう。結局、病院の同僚である佐伯さんが休みをわせてくれた。
玄関の鍵は、しいものに替わっていた。徹は弁護士を通じて、当は宅しないと伝えてきた。私はその言葉を信じ切れず、佐伯さんと緒にへ入った。
部はったより片づいていた。洗濯物のもなく、器も洗われている。徹は私がいなくなった、事をしていたのだろう。私が戻らないと分かってから、ようやく自分でいたのかもしれない。
寝のクローゼットから、制や類、着替えを箱に詰めた。棚には、結婚した頃にで買ったさな置計が残っていた。私はに取って、し迷ってから箱には入れなかった。持っていく物を選ぶたび、ここで過ごしたまで捨てるような気がした。でも、いを全部持ちす必はない。
台所には、徹が使ったマグカップが伏せてあった。結婚当初は、違いでつ買ったものだ。私の分は実へ持っていくことにした。もうつは、そのまま棚に残した。
帰ろうとした、蔵庫に貼られたメモが目に入った。《洗剤を買う》《ゴミの》と、徹の字でかれていた。
広告
彼なりに活をえようとしているのかもしれない。そうっても、戻ろうとはわなかった。
鍵を閉めてへると、佐伯さんが「丈夫?」と聞いた。私は「丈夫」と答えた。自宅をるより、しだけ気持ちが軽くなっていた。
徹の母から話があったのは、荷物を取りにった翌だった。私はないつもりだったが、母が代わりにるに、まず自分で話すと決めた。
「千歳さん、徹がずいぶん困っているのよ。のことを放りしてていくなんて、しげないんじゃない?」
義母は、鍵を替えた話を聞いていないようだった。徹は「ちょっと論になっただけ」と伝えていたらしい。
「夜勤けに帰ったら鍵が替わっていて、夫から謝れと言われました」
「そんなの、徹も疲れていたんでしょう。夫婦なら、どちらかが折れないと」
「私はもう折れたくありません」
義母は「夫を支えるのが妻の役目」と言った。私は、徹が仕事で落ち込んでいたに話を聞いたこと、事もく引き受けていたことを説した。けれど義母は「でも、あなたは護師で忙しいんでしょう」と言い、私が徹を分にてなかったのが原因だと話した。
私は話を切り、弁護士に連絡した。義母からの連絡も、今は窓を通してほしいと伝えることにした。義母はその、何度かメッセージを送ってきたが、私は返信しなかった。
広告
徹の族は、私が戻らない理由を「なり」にしたいのだろう。けれど、私がれたのは鍵のことだけではない。何かあるたびに徹の嫌を優先し、自分の言葉をみ込む活に戻りたくなかった。
母は、私が義母にく言い返したと聞いて驚いていた。私は「もう、いい嫁だとわれなくてもいい」と答えた。
佐伯さんが箱をへ運んでいる、私は居の棚を見た。結婚式の写真は、徹が選んだ額に入ったままだった。写真のの私は、いドレスを着て笑っている。徹も肩にを回し、カメラを見ていた。あの頃は、仕事の愚痴を聞いても、事の分担でも、話しえば分かりえるとっていた。
私は写真を持ち帰るか迷ったが、結局そのままにした。楽しかったまで否定する必はない。でも、写真を見て戻りたいとうわけでもない。記憶は持っていける。物は置いていっていい。
帰り際、寝の引きしに私宛ての封筒がつあった。には、共座からの引きしについて徹が作った覧表が入っていた。額の横に「千歳使用」とかれているが、私はその期に座から現をろしていない。すぐに弁護士へ写真を送り、原本は触れずに置いた。