"夜勤明けに鍵を替えられた私" 第3話
鍵が回らない朝
母の問いに、私はすぐ答えられなかった。鍵を替えられたのは初めてだ。でも、徹が私を自分よりに置こうとしたのは、今に始まったことではない。
最初は仕事の愚痴を聞いてほしいだけだとっていた。輩が昇したも、休みが増えたも、私は徹の気持ちが落ち着くまで待とうとした。けれど彼は、私の配を「答え」と受け取り、事を押しつけ、ので自分がだと言い始めた。
「私、ずっとしてたのかもしれない」
そう言うと、母は「今すぐ答えをさなくていい」と言った。父も「まず休め。仕事のこともあるだろう」と話を変えてくれた。
私は週、実で過ごした。眠って、べて、しだけ散歩をした。夜勤けにへ戻れなかったことをいすと、まだ胃がくなる。でも、実では誰かの嫌を気にしなくてよかった。
徹から話が来たのは、目の夕方だった。
「いつ帰ってくるんだ。のがひどいことになってる」
「私はさようならって言ったよ」
「ふざけるな。謝れば許してやるって言っただろ」
「何で私が謝るの?」
「事を放りして、勝にていったからだ」
私は話を切った。徹からは何度も着信があったが、なかった。メッセージにも謝罪はなく、「いつまでを張る」「妻ならに戻れ」とかれていた。
次の、実のインターホンが何度も鳴った。
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母がようとしたので、私が先に玄関へ向かった。徹がっていた。シャツはよれて、目のには濃い隈がある。
「やっとたな。いつ帰るんだ」
「帰らないよ」
「がめちゃくちゃだぞ。洗濯物はだし、ゴミも溜まってる」
「あなたの洗濯物とゴミでしょ」
徹はそこで初めて、私が本気で戻らないと分かったようだった。
「俺は夫だぞ。妻ならのことをするのが当たりだろ」
徹の言葉に、私はわず笑いそうになった。結婚した、事はでできる方がやろうと話したはずだ。私が夜勤のは徹が夕飯を作ることもあった。いつから、妻だけの仕事になったのだろう。
「誰が決めたの?」
「俺が決めたんだよ」
「あなたでね。私はそんな約束してない」
徹は「俺が落ち込んでいたも、おは助けてくれなかった」と言った。私は、彼の話を聞いたし、休みたいなら休めばいいとも言った。ただ、休んだ分を周りが埋めていたことは伝えた。それが気に入らなかったのだろう。
「私はあなたの方でいたかったよ。でも、あなたが仕事を休んで何もしないことまで、正しいとは言えない」
「おは俺を見してる」
「違う。自分のことを自分でしないあなたに、もう疲れたの」
私は、週のに何度も考えた。徹が料をげられたから婚したいのではない。輩に追い越されたからでもない。
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仕事を失敗したり、落ち込んだりすることは誰にでもある。私が耐えられなくなったのは、そのたびに私をに見て、従わせようとしたことだった。
「婚したい」
徹は目を見いた。
「さようならって、そういうだったのか?」
「にどういうがあるのよ」
「鍵を替えたのは躾だ。ちょっとやりすぎただけだろ」
「私をに入れないのが、ちょっとしたことなの?」
徹は何か言いかけたが、言葉が続かなかった。私は、鍵を替えられたことだけではなく、そのから何度もがれていたと伝えた。
「鍵のことは弁護士にも相談した。これからは弁護士を通して話して」
「弁護士? もう相談したのか」
「うん。婚するつもりだから」
徹の顔から、りが消えた。代わりにそうな表が浮かんだが、私はもうその顔を見て気持ちを変えるつもりはなかった。