"夜勤明けに鍵を替えられた私" 第2話
俺を評価しない会社
「こんなに頑張ってるのに、料ががった。おかしいだろ」
徹は帰るなりネクタイをテーブルに投げた。夕飯の支度をしていた私は、を止めた。
「何か説はあったの?」
「評価がかったらしい。輩ばかり贔屓してるんだ」
「この半、休みがかったからじゃない?」
「体調が悪かったんだ。仕方ないだろ」
私は、責めるつもりで聞いたのではなかった。けれど徹は、私が会社の方をしているとったようだった。
「みんな、あなたが休んだ分をカバーしてたんでしょう。仕事を続けていたが評価されるのは普通だよ」
「俺だって頑張ってた」
「休んででゲームをしていたもあったよね」
「息抜きだよ」
「息抜きするなとは言ってない。でも、会社が評価するのは勤して仕事をしていたでしょ」
徹の顔が赤くなった。
「おは誰の方なんだよ」
私は返事をしなかった。夫の方でいることと、徹の言い分を全部正しいと言うことは違う。そう言おうとした、徹が先にをいた。
「もういい。今からこのでは俺が決める。俺はの黒柱だ。おは俺の言う通りにしてればいい」
「何を言ってるの?」
「答えするな。妻なら夫をてろ」
その夜から、徹は自分のことをほとんどしなくなった。脱いだはに置き、んだコップも流しに残す。頼みごとを断ると、「俺の妻だろ」
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と言う。
「私も夜勤けで疲れてるよ。自分のシャツくらい自分でアイロンかけて」
「それが嫁の仕事だろ」
「私はあなたのお母さんじゃないよ」
言い返すと徹は黙り込み、翌朝までをきかない。ので、私だけが徹の嫌を気にするようになっていた。
護師として患者さんの気持ちに寄り添うことには慣れている。でも、徹の言葉を聞くたびに、自分のがしずつれていくのをじた。
それでも、私はすぐに婚を決められなかった。く緒にいたもある。徹が元に戻る能性を、まだどこかで待っていた。
夜勤の勤務、救急搬送が続いた。申し送りを終え、病棟をたのは朝の半だった。ほとんど座る暇もなく、がい。に揺られながら、に着いたら呂に入って眠ろうと考えていた。
玄関ので鍵をし、鍵穴に差し込む。回らない。抜いて向きを確かめ、もう度差したが、やはりかなかった。
「え、何で?」
鍵は違っていない。ドアを押しても引いてもかない。私はインターホンを押した。し待つと、徹の声がスピーカーから返ってきた。
「やっと帰ったか」
「鍵がかないんだけど。壊れたの?」
「壊れてない。替えたんだ」
瞬、が分からなかった。
「何で?」
「ダメ嫁への躾だよ。最、おは自分のを分かってないからな」
徹は笑っていた。
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夜勤けのに、その声がいやに響く。
「謝るなら許してやる。玄関のでちゃんと謝れ」
私は黙った。に入りたいで、何か言えば徹は満するのかもしれない。けれど、ここで謝ったら、これからも同じことをされる。そうった、胸ので何かが切れた。
「あっそ。さようなら」
私はインターホンかられた。徹が何か叫んでいるのが聞こえたが、もうち止まらなかった。実へ向かうので、ようやく涙がた。しいというより、悔しかった。疲れ切って帰った自分を、夫はに入れず、謝れと笑っていた。
実に着くと、母が驚いて玄関へてきた。私は事を話し、しばらく泊めてほしいと頼んだ。両親は何も聞かず、まず事と寝る所を用してくれた。
ベッドに横になっても、眠れなかった。のでは、徹の「躾だ」という声が何度も繰り返される。私はそのたびに、自分が悪いのかと考えかけて、やめた。
その夜、実の卓で母が言った。
「鍵を替えたのは、今回が初めてなの?」