"もやしと消えた仕送り" 第8話
母の背筋と曜の招集
母のに事の顛末をすべて打ちけるのは、胸が張り裂けるほど辛い作業だった。
夫の久しが毎の仕送り万円を横取りしていたこと。そのおがすべて義母のブランド品やフレンチの事代に消えていたこと。そして、夫と義母が裏で「もやしばかりべている貧乏」と母を嘲笑っていたこと。
スマートフォンのスピーカーから漏れる私の告を、母は相槌も打たずに、ただじっと静かに聞き届けていた。
「……お母さん、本当にごめんなさい。私がちゃんと確認していなかったから、お母さんに惨めないをさせて……」
私の喉から、抑えきれない嗚咽が漏れた。
自分がけなくて仕方がなかった。母を楽にさせたくて必に働いてきたはずなのに、結果として番切なを侮辱する助けをしてしまっていたのだから。
すると、受話器の向こうから、静かで温かい母の声が返ってきた。
『里見ちゃん、泣かないでおくれ。あんたが謝ることなんて、何つないよ』
「でも……!」
『あんたが私の体を配して、毎仕送りをしようとしてくれていた。その優しい気持ちだけで、お母さんはもう分に胸がいっぱいだよ。悔しかったねぇ、辛かったねぇ。……よくで耐えたね』
母のその言で、私の目から粒の涙がボロボロとこぼれ落ちた。
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りでも絶望でもなく、母の無条件の優しさに包まれた堵の涙だった。
ひとしきり泣きじゃくった、私は曜にお義母さんから実へ呼びされている件を伝えた。母を嫌なに引っ張りしたくないから、私でって断ってくる、と。
しかし、母の返答はなものだった。
『いいえ、私も緒にきますよ』
その声には、普段の控えめで穏やかな母からは像もつかないような、凛としたさが宿っていた。
『切な娘を騙して、棒呼ばわりしたたちなんでしょう? そんな理尽な席に、あんたをかせるわけにはいかないわ。ちゃんとお母さんとして、ご挨拶してこなきゃね』
娘を守るためにちがろうとする母の覚悟に、私の背筋も自然と伸びていくのをじた。
そして迎えた、運命の曜。
私は濃紺の落ち着いたセットアップを着込み、母と駅の改札で流した。
現れた母は、古いが綺麗に入れされた品なブラウスを着て、背筋をピンと伸ばしていた。何ももやしばかりべて痩せ細っていたはずなのに、その瞳には迷いのないいが宿っていた。
「お母さん、体調は丈夫?」
「ええ、問題ないわよ。里見ちゃんがこのくれたおで、ちゃんとお肉もべたからね。力はり余ってるわ」
母は悪戯っぽく微笑んで、私のをキュッと握ってくれた。
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そのはさかったが、驚くほど温かかった。
分、私たちは郊にある義実のに到着した。
派な構えの軒だが、庭の植は入れがされずに伸び放題になっており、どこか荒んだ空気が漂っていた。
玄関のチャイムを鳴らすと、待ち構えていたかのようにドアが勢いよくいた。
現れたのは義母だった。化粧はやたらと濃いが、目元のクマと元の歪みは隠しきれておらず、焦燥が滲みていた。
「……がってちょうだい」
案内された客には、すでに苦しい空気が充満していた。
座のくには、久しの叔父や叔母など、親戚の配者たちが、ほど座らされていた。麻美さんの姿もあった。親戚たちを方につけて、勢に無勢で私たちを吊るしげようという義母の浅はかな企みが見て取れた。
部の隅の座布団には、久しがさくなって座っていた。目のを真っ黒にして、私たちが入ってきても顔をげることすらできない。
母と私は、座の席へと静かに腰をろした。
親戚たちの探るような線が交差する、義母が笑いを浮かべながら、ねっとりとした嫌たっぷりの声でを切った。
「まあ、里見さんのお母様、ご派なお召し物を着てらっしゃるわねぇ。毎もやしばかり召しがっていると伺っていましたから、もっとみすぼらしい格好でいらっしゃるのかといましたわ」
部の空気が、ピシリと凍りついた。