"もやしと消えた仕送り" 第4話
暴かれた裏切りと母への嘲笑
久しのスマートフォンを操作する里見の指先は、刻みに震えていた。
真っ先にいたのは、の専用アプリだった。計を管理するための活用座——里見の事業収入の部分をプールし、費や用品、そして母への仕送りを引き落とすための座だ。
入細の履歴を遡る。
毎、になると、確かに『シオクリ 100,000』という名目で記録が残っていた。しかし、その振込先の座番号と名義を見た瞬、里見の息が止まった。
『振込先:モリタ ヨシエ』
母のの名義ではなかった。
久しの母——義母である森田淑恵の座だった。
半、毎万円。計万円ものが、母への仕送りと偽られて、そのまま義母の懐へと流れ込んでいたのだ。
「……嘘でしょ……」
震えるでメッセージアプリをく。トーク覧の番にあった『お母さん』というスレッドをタップした。
そこに並んでいたのは、目を疑うような々しいやり取りの数々だった。
『久し、今も万入ってたわよ! いつも助かるわぁ。今度のお休みに、デパートで作のブランドバッグ見にきましょうね』 『んでもらえてよかったよ。あいつ、デザインの仕事で忙しくて通帳なんか全然見ないからさ。母親への仕送りだって言っておけば、毎ホイホイ座にを入れてくれるんだよ。
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本当にバカで助かるよな』 『うふふ、稼ぎのいいお嫁さんをもらって正解だったわね。あ、久し、次はあの座のフレンチのコースがべたいわ』 『オッケー、予約取っておくよ。あいつの稼いだでう飯は最だな(笑)』
涙すらなかった。ただ、血の気が気に引き、全の毛穴がくような激しい悪寒がった。
信頼していた夫。事を伝い、「仕事に集していいよ」と笑いかけてくれていた優しいパートナー。その仮面の裏で、彼は妻を「づるのバカ」と嘲笑い、実の母親と結託してを巻きげていたのだ。
だが、画面をスクロールした先にあったメッセージは、里見のをさらにく、無残に踏みにじった。
ヶの履歴だった。
『久し、そういえば嫁さんのお母さんって、団で暮らしなんだっけ?』 『うん。あいつが配そうに「実の母がもやし料理ばかりべてて配」って愚痴ってきたよ。貧乏くさくて笑っちゃったよ』 『まあ! 毎もやしなんて、みじめねぇ(笑)。貧乏にはもやしがお似いなのよ。あんな寄りに万も渡したって無駄になるだけじゃない。私たちが義に使ってあげてるんだから、謝してほしいくらいだわ』 『ほんとそれ。母さんに使ってもらった方がもぶよ』
画面に並ぶ文字が、歪んで見えた。
胸の奥が張り裂けそうなほどの痛みのあと、いマグマのようなりが腹部から全へ気に吹きがってきた。
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娘に配をかけまいと、細いでさなおせんべいを差ししてくれた母。
その母の慎ましい暮らしを、この親子は嘲笑い、踏み躙り、自分たちの贅沢の肥やしにしていたのだ。
ふざけるな。
絶対に許さない。
里見は眠りこける夫の顔を見ろした。幸せそうに微かな寝息をてるその横顔が、今は汚にまみれた害虫のようにしか見えなかった。
里見は静かに息を吸い込み、スマートフォンの画面を自分の端末で次々と撮した。トーク履歴の全画面、の振込細、送の。言い逃れのできない証拠をすべてクラウドに保する。
そして、夜のうちにのオンライン続きをき、活費座の暗証番号を変更した。さらに、夫に持たせていた族カードの利用止続きを、画面で淡々と完させた。
翌朝、嵐がやってくることを確信しながら。