"もやしと消えた仕送り" 第2話
消えた仕送りとたい渡し
母のきょとんとした表に、里見はを疑った。
「何のことって……毎、お母さんの座に万円ずつ振り込んでるじゃない。半くらいから、ずっと」
「振り込み……? おなんて、度も入ってきてないわよ?」
母は嘘をついているようには見えなかった。本当に当たりがないというように、眉を寄せて首を横に振っている。
その瞬、里見の背筋をたいものがすっと撫でろした。
(振り込まれていない? そんなはずはない。だって毎、計の座から万円を仕送り用として分けていたはずなのに……)
がのおの管理は、すべて夫の久しに任せていた。
に勤める久しは数字にく、確定申告の準備や活費の振り分けも几帳面にこなしてくれていた。方の里見は、徹夜続きでデザインの制作に没することがく、おの細かい入りを管理するのが昔から苦だった。「里見はクリエイティブな仕事だけに集していいよ」という久しの優しい言葉に甘え、通帳の記帳すら彼に任せきりにしていたのだ。
のを無数の疑問がぐるぐると渦巻き、の先から血の気が引いていくのが分かった。
しかし、目のでそうにこちらを見つめる母をにして、取り乱すわけにはいかない。
「里見ちゃん……? 本当におなんて届いてないのよ。
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私、何か続きをし忘れてるのかしら」
今にも泣きしそうな顔で自分を責めようとする母を見て、里見は必に角をげ、何でもないような笑顔を作った。
「あ、ごめんごめん! 私の勘違いだったみたい。別の座と違えてたのかも。ちょっと確認してくるから、お母さん、しだけここで待ってて」
「え? 確認って、どこへくの?」
「すぐそこ! 駅のに寄ってくるだけだから!」
里見は母の制止を振り切るようにして団をびし、階段を駆けりた。
臓が鐘のように打っていた。のぬるいが頬をかすめる、駅にあるのATMコーナーへ駆け込む。
バッグから自分専用の事業用キャッシュカードを取りし、械に差し込んだ。画面のボタンを震える指で押し、普通預から現万円を引きす。械から滑りてきた分い万円札の束を握りしめたとき、悔しさとけなさで界がじんわりと滲んだ。
娘が稼いだが、どこかへ消えていた。そのせいで、最の母は毎数円のもやしばかりをべて、骨と皮ばかりに痩せ衰えていたのだ。
息を切らしながら団へ戻ると、母は玄関先で配そうにって待っていた。
「里見ちゃん、体どうしたっていうのよ……」
「お母さん、これ」
里見は封筒に入れた万円を、母のさく乾いた両に無理やり押し当てた。
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「えっ……これ、何のおよ。こんな、受け取れないわよ!」
「いいから取っておいて! 万入ってるから。お願いだから、もやしばかりべてないで、お肉もお魚もいっぱい買って、美しいものをべてよ。私ね、お母さんにはでもく、元気でいてほしいの」
「里見ちゃん……」
母は戸惑いながらも、娘の真剣すぎる差しに気圧されたように、胸ので封筒を抱きしめた。その目にはうっすらと涙が浮かんでいた。
「ごめんね、今はもう帰るね。仕事の話が入っちゃって。またいうちに顔をすから、絶対に無理しないでね」
これ以ここにいたら、溢れそうなを抑えきれなくなってしまう。
里見は逃げるように母の部をにし、駅へと向かうをに歩き始めた。胸の奥底で、ドロドロとした黒い炎が静かに燃えがっていた。
このおの方を、絶対に突き止めなければならない。
久し、あなたは何をしているの——。