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"「中卒女に現場は無理」職人10人が辞めた結果" 第2話

の浮きと消えた膏ボード

脚のの岩が、忌々しそうに線を落としました。

「ああん? そこはもう終わったんだよ。余計なところをほじくるな」 岩は吸い殻をに投げ捨て、吐き捨てるように言いました。

「卒の娘が、やってる俺に指図すんのか? 黙って言われた壁だけ張ってろ」

背で作業していた岩の子分たちが、クスクスと肩を揺らして笑いました。 千はそれ以言い返さず、静かにちがって自分の持ちへ戻りました。

千が学をてこの世界に入ったのは、歳のでした。 腕の良い内装親方の作業を訪ね、くをげたのです。

「にはきません。ここで働かせてください」

学の職体験で、親方が張った壁の継ぎ目が、刷毛のひと撫でで魔法のように消えるのを見たときからに決めていました。

親方は千の顔をじっと見つめ、具箱の鍵を無言で渡してくれました。 その親方が、酸っぱく教え込んだ鉄則がありました。

『具と帳面は、そののうちにえてから帰れ』

それ以来、千はどの現でも、使った材料の数と残った端材を、付入りの写真とともに帳へ克に記録してきました。 その帳は、すでに冊を超えていました。

翌の曜、現は休みでした。 千はで現に入り、浮いていたタイル枚を剥がしてセメントを練り直し、綺麗に張り直しました。

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昼過ぎ、置き忘れたインパクトドライバーを取りに来た若の港が、入りで目を丸くしました。 歳の港は、岩班ので番のっ端でした。

「堀さん、休みなのに何してるんですか? それ、岩さんたちのですよ」

「がいてから剥がれたら、番困るのはオーナーさんでしょ」 千は汗を拭いもせず、最のタイルの目を平らに均しました。

曜、舗のオーナーから「の仕がりが素らしい」と丁寧な礼の話が入りました。 岩は受話器を置くなり、社ので胸を反らせました。

「どうです社、俺の班の仕げは客に絶賛ですよ。細けえ帳面なんかつ細かくつけなくたって、職は腕さえありゃいいんです」

社は苦笑いを浮かべ、元の次帳簿に線を落としました。 の売は千万円あるのに、営業利益はいつも百万円そこそこしか残りません。

(腕が良いなら、どうして毎これしか元に残らないんだ……) 社のさな呟きは、笑いする岩のには届いていませんでした。

あの現で、千にはもうつ気になっていたことがありました。 搬入された膏ボードの枚数が、どうしても計算とわなかったのです。

発注伝票の控えには百枚とあるのに、現の壁と井に使われたのは枚ほどでした。

残りの枚は、現のどこを探しても見当たりませんでした。

(まただ……) 千は資材置きの写真を撮り、帳の端に数字をメモしました。

岩班の現で同じように材料が忽然と消えるのを記録したのは、これで件目でした。 けれど、職にすぎない千には、会社の発注元データを調べる権限はありません。 確証のないままを疑うわけにはいかず、千は固く帳を閉じました。

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