"3年ぶりの帰省、弟嫁がゴミ箱を漁っていた理由" 第5話
通帳に残っていた記録
母は居で私たちを待っていた。テーブルのには通帳と印鑑が置かれている。ちゃんを見るなり、母はを差しした。
「昨言ったでしょう。通帳をして」
「お義母さん、私のおです」
「ここで暮らしてきたんだから、に入れるのは当然よ」
母の声は静かだった。その静けさが、かえって怖かった。ちゃんは私のろにち、母の顔を見ている。
「そのおはちゃんが働いて貯めたものです。勝に取ることはできないよ」
「玲奈は何もらないくせにをさないで。これは族の話なの」
「ちゃんも族でしょう」
母は返事をしなかった。そこへ健が寝からてきた。
「姉ちゃん、何の騒ぎ?」
「ちゃんを連れて帰る」
「は? 勝なことするなよ。はうちの嫁だぞ」
「だから何? 嫁なら事を抜いてもいいの?」
健の顔が固まった。母が横から「げさなことを言わないで」と遮る。父は廊にったまま、こちらを見ているだけだった。
私はちゃんの帳を見せた。母は瞬目をそらし、健は「そんなの、本が勝にいただけだ」と言った。
「事をしていないことは認めるの?」
「体調が悪いって言ってたから、無理にべさせなかっただけだ」
「じゃあ、どうして夜にゴミ箱を漁っていたの?」
健は答えられなかった。母は「の恥をで話すな」
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と声をめたが、私はもう聞く気がなかった。
ちゃんが歩へた。
「私の通帳を返してください」
母は「おの話はあと」と言い、通帳をで押さえた。私はちゃんに、通帳の表だけでも写真に撮るよう伝えた。彼女のスマートフォンで撮しようとすると、母がを伸ばしてきた。私はに入り、はっきり言った。
「触らないで」
父がようやくをいた。
「玲奈、朝から騒ぎにするな。も落ち着いて、話しってからにしなさい」
「お父さんは、今まで何を見てたの?」
父は答えず、目を伏せた。私はちゃんの荷物を持ち、玄関へ向かった。背で健が「すぐ戻せよ」と言ったが、振り返らなかった。
に乗ると、ちゃんはしばらく黙っていた。りしてから、かすれた声で言った。
「お姉さん、通帳のにらない引きしがありました」
彼女が見せてくれた写真には、分の記録が写っていた。毎、まとまった額が座からろされている。いちばんしい欄には、百万円の引きしがあった。
私は母が通帳を押さえている、ちゃんに座の支名と番号をメモしてもらった。写真は枚だけで、残や引きしの欄が全部写っているわけではない。それでも、付と額を確かめるがかりになる。母は「計に使った」と言ったが、いつ、何に使ったのかを説しようとはしなかった。
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父は、私が「お父さんは何を見ていたの」と聞いた、に持っていた湯みをテーブルに置いた。湯みの底がの板に当たる音だけが、妙にきく聞こえた。健は「姉ちゃんが帰ってきてから、が変になった」と言いした。私は、彼が何を言ってもちゃんの話を聞くつもりだと伝えた。
玄関で靴を履いていると、母が「がいなくなったら、のことは誰がするの」と言った。私は振り返った。母は本気で困っている顔をしていたが、配しているのはちゃんの体ではなく、事をするがいなくなることのようだった。
をしてから、私はすぐに速へは乗らなかった。ちゃんが落ち着くまで、くのコンビニの駐で待った。彼女は窓のを見ていた。やがて「戻らなくていいんですよね」と聞いた。私は「今は戻らなくていい」と答えた。