"3年ぶりの帰省、弟嫁がゴミ箱を漁っていた理由" 第3話
さな帳
私はちゃんのから、汚れたをそっと受け取った。の甲にさな傷がいくつもあり、指先も荒れている。まずは子に座らせて、蔵庫からをした。
「何もべてないの?」
「今は昼から、何も……」
「夕飯は?」
「皆さんと緒のは、べないように言われています」
何を言っているのか、すぐには分からなかった。ちゃんは震えるでをみ、目を伏せたまま話し始めた。
事を失敗すると、そのの事を抜かれる。呂に入れるのは週に度。買い物もではかせてもらえず、スマートフォンは健に預ける決まりになっていた。へるは母が緒で、ちゃんが誰かに連絡を取らないよう、通音も切られていたという。
「どうして、そんなことに……」
「私が悪いんです。お義母さんに何度も注されたのに、ちゃんとできなくて」
「それで、ご飯をべさせないの?」
ちゃんは答えなかった。彼女が何をしても、母はさな失敗を見つけては責めていたらしい。健も母の言い分を信じ、「姉ちゃんが来てるくらい、ちゃんとしろよ」と言っていた。
「健もってるの?」
「はい。私がべていないことも、にられないことも」
私は胸の奥がくなった。けれど、ここで声をして族を起こせば、ちゃんがもっと責められるかもしれない。
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まずは彼女を全な所へ連れていく必がある。
「いつから?」
「しずつです。仕事を辞めてから、のことを全部するようになって……失敗したに、お義母さんが『べる分だけ働きなさい』と言いました」
ちゃんはポケットからい帳を取りした。付と、そのに起きたことが細かくかれている。事を抜かれた、呂に入れなかった、健に言われた言葉。震える字で記録されていた。
「誰かに見せるつもりでいたの?」
「最初は、私が忘れないためでした。毎、私が悪いと言われると、本当にそうなのか分からなくなってしまって」
最のページには、の付とい文があった。
《母さんに、私の貯を渡す。断ったら、ここには置いておけないと言われた》
「貯って、ちゃんのお?」
彼女はうなずいた。結婚に働いて貯めたおが、通帳に残っている。母はそれを「にませてもらった分」として渡すよう求めていたという。
その、廊のがきしんだ。誰かが起きて、こちらへづいてくる。
ちゃんは、帳をいて私に見せるに、何度も「こんなものをいていてすみません」と謝った。謝る必はないと言っても、彼女はすぐには顔をげなかった。帳は古い計簿の裏表を切って作ったようなもので、ページの端が擦れている。
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誰かに見つかったら困るから、何度も隠し所を変えていたそうだ。
記録には、付だけでなく、何をしたに何を言われたかもかれていた。噌汁をしこぼしたは夕を抜かれ、洗濯物を畳み違えたは呂に入るなと言われた。健は止めるどころか、「母さんをらせるな」と言った。ちゃんは自分が悪いとい込み、翌にはさらに事を増やしたという。
彼女は最初、健が仕事で疲れているから仕方ないと考えていた。母の言葉も、同居している以は聞くべきだとっていた。けれど、べる量が減り、ちくらみがするようになっても、誰も病院へ連れてかなかった。帳をき始めたのは、自分が何をされたか忘れないためだった。
「私、本当に悪いことをしたんでしょうか」
ちゃんに聞かれ、私はすぐ答えた。事で失敗することは誰にでもある。だからといって事や呂を取りげていいはずがない。彼女は、その言葉を何度かさく繰り返してから、やっとをんだ。