"3年ぶりの帰省、弟嫁がゴミ箱を漁っていた理由" 第1話
母からの話
「で、彼氏はいるの?」
母の声は、話にたからその話をするつもりだったように弾んでいた。私は会社のビルをたばかりで、夜に当たりながら駅まで歩いていた。
「いないよ。にも言ったじゃん」
「もうでしょう。仕事ばかりしてないで、しは考えなさいよ」
「仕事が忙しいの。今はそれで困ってないから」
化粧品メーカーで働く私は、から商品の売りづくりを任されていた。の並べ方や広告の、説文のつまで考えるのは変だけれど、商品をに取ったが笑ってくれると嬉しい。結婚したいとえる相に会えば、そのに考えればいい。母に急かされて相を探す気はなかった。
「健たちに子どもができないんだから、せめてあんたが結婚して孫を見せてよ」
またその話か。母が言う「健たち」とは、つの弟と、その妻のちゃんのことだ。はに結婚し、実で両親と暮らしている。検査できな問題は見つからなかったらしいが、子どもはまだいない。母はそのことを、何かにつけて持ちしていた。
「お母さん、私に言うのはいいけど、ちゃんには言わないでよ。本たちが番気にしてるんだから」
「配してるだけよ。あの子は仕事も辞めたんだし、子どもができるとってたのに」
「それ、本に言ったら傷つくよ」
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母は返事をせず、ししてから「たまには帰ってきなさい」と言った。私は「そのうちね」と答えて話を切った。
実に帰ったのは、弟夫婦の結婚式が最だった。会社が忙しくなったこともあるけれど、母と話すといつも結婚や子どもの話になるので、連絡そのものがなくなっていた。ちゃんからも、最初の頃は々メッセージが来ていた。最はそれも途絶えている。
私はちゃんのことが好きだった。初めて会ったから、こちらの話をよく聞いて、誰かを悪く言うこともなかった。結婚式の帰り、駅まで緒に歩きながら、彼女は「族ができたのが本当に嬉しいです」と笑った。
その言葉をいすと、母の話のあとに残ったがしきくなった。
次の、私は連休を取って実へ帰ることにした。久しぶりに母の顔も見たかったし、ちゃんともゆっくり話したかった。けれど、玄関のチャイムを鳴らしててきた彼女を見た瞬、私は言葉を失った。
「お姉さん、お久しぶりです」
ちゃんは、よりずいぶん痩せていた。
話を切ったあと、私は自分の部へ戻り、クローゼットの奥から実の所がかれた古い封筒をした。母から届いた賀状や、弟の結婚式の写真が緒に入っている。式の、ちゃんは緊張しながらも、私の隣に座って何度も話しかけてくれた。
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披宴のあとには「玲奈さんみたいなお姉さんができて嬉しい」と言ってくれた。あのの笑顔が、今もはっきり浮かぶ。
母の話では、ちゃんの話はほとんどなかった。孫のことを聞くだけ名をし、普段どうしているかは尋ねない。私はそれを、母らしいと片づけていた。忙しいから連絡を取れないのは仕方ない、と自分にも言い聞かせていたのだ。
その夜、実へ帰るを決めて、ちゃんにいメッセージを送った。《来、連休に帰るね。会えるの楽しみにしてる》既読はつかなかった。翌も、その次のも返事はない。仕事が忙しいのかもしれない。それでも、返事が来ないことがに残った。私は母に連絡し、帰ることだけ伝えた。母は「久しぶりだからごちそうを用する」とんでいたが、ちゃんのことには触れなかった。