"夫の昇進を伝えた瞬間、父が命じた全財産の移転" 第13話
宣告された「残ゼロ」
は、私が脅しに屈してペンを取るものと信じ込み、元に品な勝利の笑みを浮かべていました。 達也は腕を組み、顎をしゃくってくサインしろと急かしてきます。
義母は扇子を揺らしながら、の悪い笑いを浮かべていました。 麗華もまた、自げにお腹をさすりながら、私の屈を今か今かと待ちわびていました。
彼らは、私が絶望に打ちひしがれ、涙を流して元にすがりついてくると信じ切っていたのです。
しかし、私の元から静かにこぼれ落ちたのは、まったく別の音でした。
「……ふふっ」
静寂を切り裂くように、乾いた笑い声がリビングにさく響き渡りました。
それは取り乱した者の笑いではありませんでした。 底れぬれみと、軽蔑に満ちた、どこまでも穏やかな笑いでした。
達也が怪訝そうに眉を吊りげ、苛ちをわにしました。
「おい、何がおかしいんだ! ショックででもおかしくなったのか!? くに実印を押せ!」
義母も扇子を激しく仰ぎて、甲い声を張りげました。
「見苦しいわね! 笑ってごまかせるとっているのかしら! 往際が悪いのよ!」
麗華もそうにを鳴らし、達也の腕にしがみつきました。
「達也さん、気だからく追いしてよ!」
の罵声を浴びながら、私は静かに笑いを収めました。
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そして、氷のように研ぎ澄まされた線を、夫の達也へと真っ直ぐに向けました。
「達也さん。本当に、浅ましくてれなね」
私の静かな言に、達也のきがピタリと止まりました。
「な、何だと……?」
「専務というの丈にわない権力に目が眩んで、自分の元が見えていないのよ。自分がっている所が、どれほど脆い崖っぷちかもらずにね」
私の迷いのない態度に気圧され、達也はわずかにずさりしました。
私は席をつと、部の隅にあるサイドボードへ静かに歩み寄りました。 引きしをけ、昨夜のうちに用しておいた、あの通のの茶封筒を取りします。
の線が私の元に集まる、私はリビングの央のテーブルへ戻りました。 そして、達也が叩きつけた婚届との真に、封筒から取りした類を静かにねて置いたのです。
テーブルのに滑りたのは、法務局との公印が鮮に押された、数枚の公証でした。
「残でしたね」
私は背筋を凛と伸ばし、揺することなく告げました。
「私名義の財産は、この麻布の豪邸も含めて、円もしませんよ」