"夫の昇進を伝えた瞬間、父が命じた全財産の移転" 第3話
朝の信託センターと鉄壁の盾
私は寝へ向かい、耐庫の暗証ダイヤルをわせました。 い扉をけ、から権利証と通帳の束を取りします。
麻布の邸宅の権利。 そして、独代から持っていた個名義の預億円の通帳と信託類。
これらはすべて、私が結婚するから所していた特財産です。 夫の会社とは切関係のない、私だけの財産でした。
私は母の携帯に話をかけました。 母の冴子は、すでに父から話を聞いていたようで、落ち着いた優しい声で応じてくれました。
『美桜、お父さんからすべて聞いていますよ』
「お母さん、の朝、信託センターでお会いできますか?」
『ええ、もちろんよ。法務の担当者にも連絡してありますから、朝番で続きを済ませましょうね』
母の迷いのない言葉に、私はく背を押されたような気がしました。 机のに並べた類を見つめながら、私は静かに拳を握りしめました。
翌朝の午。 私は都の層ビルにある信託センターの特別を訪れました。
ふかふかの絨毯が敷かれた応接で、母の冴子が穏やかな笑顔で迎えてくれました。
「おはよう、美桜。寒かったでしょう」
「お母さん、朝くから本当にごめんなさい」
「いいのよ。あなたの尊厳と財産を守るためですからね」
部の奥には、神堂グループの法務担当者が控えていました。
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机のには、昨話で依頼しておいた移転続きの類が然と並べられていました。
「美桜様、お父から伺った通り、すべての類を揃えております」
担当者は礼し、類を丁寧に広げました。
「麻布の邸宅の所権を、本付で冴子様への譲渡として法務局へオンライン申請いたします。預座と投資信託も、すべて冴子様の単独座へ切り替えます」
私は持参した実印と分証を机のに置きました。
「よろしくお願いいたします」
私は迷うことなく、指定された署名欄にペンをらせました。 朱肉をつけ、契約の箇所箇所にしっかりと印を押していきます。
母も静かにペンを取り、受贈者としての署名と捺印を際よく済ませました。
「これで続きは完いたしました」
担当者が端末を操作し、申請を確定させました。
「美桜様名義の座残も、先ほどゼロ円へと更されました」
渡されたのは、残がゼロと印字された最の残証と、登記移転の受領証でした。
「美桜、これであなたの周りに、目に見えない鉄壁の盾ができましたよ」
母は私の目を真っ直ぐに見つめ、静かに言いました。
「お父さんはね、が欲に溺れたときにどれほど恐ろしい怪になるかを、誰よりもっているの。あちらのご族がどんなを吹かせてくるか、静かに見届けなさい」
「はい、お母さん。しっかり胸に留めておきます」
私は証を鞄の奥くに切にしまい、くをげました。 自宅へ戻ったのは、正午を回ったころでした。
名義を母へ移したとはいえ、のの空気は何も変わっていません。 私は台所へ向かい、昼の準備を始めました。
そのときでした。 ピンポーン、ピンポーンと、障りなインターホンの音が激しく鳴り響いたのです。