"こぼされた定食の代償" 第8話
暴かれた角関係と本命の正体
「さ、笹原さん……? な、なんでその名を……」
ミキの唇がガクガクと刻みに震えていた。
史は淡々とタブレットを操作し、興信所から届いた調査報告のページをいた。そこには、夜のレストランやホテルのバーで、親密そうにを寄せうミキと、仕ての良いスーツを着た見らぬ男の写真が何枚も貼り付けられていた。
「報システム部から審なアクセスの報告を受けた点で、社内関係者の辺調査をめていたんだよ。宮君、君が先からクラタ物産の笹原課と毎週末のように会い、会社の内部報について話していたことは、すべて記録されている」
その言葉を聞いた瞬、隣に座っていた神崎が弾かれたように顔をげた。
「……え? ミキ、お……笹原って誰だよ?」
神崎の声は、信じられないものを見たかのように裏返っていた。
「お、俺と付きってたんじゃないのか!? 『優さんが番頼りになる』『緒にしい会社にこう』って言ってたのは、全部嘘だったのかよ!?」
ミキは神崎から嫌そうに線をそらし、舌打ちをした。
「……うるさいわね。あんたみたいな先だけの男と、本気で付きうわけないでしょ」
「な……んだと……!?」
「あんたが営業で全然契約取れなくて、司にられてばかりだったの、私がらないとでもった? 転職先でいい顔したいからって、会社のデータを欲しがってたのはあんた自じゃない! 私はただ、笹原さんに頼まれたから、あんたを利用してデータを抜かせただけよ!」
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「お……! ふざけるな! 俺はおのためにリスクを冒して……!」
神崎が激昂してちがろうとしたが、史がテーブルを鋭く叩いて制した。
「社内で喚くのはやめなさい。……どちらにせよ、君たちが共謀して会社の密データを持ちそうとした事実に変わりはない」
私がややかに補した。
「神崎さんは、ミキさんにいいところを見せようとして、そして自分の転職の産にするためにデータを盗みした。ミキさんは、そのデータを本命の恋である笹原という男に横流しして、彼に気に入られようとした。……するに、お互いがお互いを利用しっていただけ、ということね」
「ち、違うわ! 私は笹原さんに騙されてただけなの!」
ミキが急にボロボロと涙を流し始めた。
「笹原さんが、『君の会社の部品データと取引先リストがあれば、僕たちのしい会社をちげられる』って……『結婚して緒に役員になろう』って言ってくれたから! 私は信じてたのに!」
子どものように泣きじゃくるミキの姿に、私はりを通り越してい呆れを覚えた。
結婚をチラつかされて利用されたのだとしても、の会社の財産を盗みす犯罪為に加担したことに変わりはない。
「宮さん、泣いて同を買おうとしても無駄よ。の社会では、自分のの責任は自分で取るものなの」
私がそう告げた、堂の入の自ドアがき、見覚えのある髪交じりの紳士が入ってきた。
父の古くからの友で、クラタ物産の代表取締役を務める倉田社だった。
そのろには、警備員に両脇を固められ、青ざめた顔で俯く男——ミキが「本命」と呼んでいた笹原課の姿もあった。
「お待たせしました、松尾専務」
倉田社が々しい取りで歩み寄ってきた。
「が社の社員が、御社に対して取り返しのつかないご迷惑をおかけしたこと、よりお詫び申しげます」
ミキが顔をねげ、その男の姿を捉えた。
「さ、笹原さん……!?」