"二人きりのはずだった旅行" 第1話
「族なんだから」
「由さん、まだ同居する気にならないの?」
義母の良さんは、うちに来るたびに同じことを言った。結婚したばかりの頃はに、度だった訪問も、義父がくなってからは週に何度も来るようになり、最では連絡もせず玄関のチャイムを鳴らす。私が仕事から帰って夕飯を作っている横で蔵庫をけたり、洗濯物の畳み方を見てため息をついたりするので、にいても気が休まらなかった。
「俊也は仕事が忙しいでしょう。あなたに任せておくと、ちゃんとべてるのか配なのよ」
「俊也さんもですし、自分のことは自分でできますよ」
「そういう問題じゃないの。妻がいるなら、に帰ったくらい何もさせないのが普通でしょう」
私も俊也も働いている。私は事務職で、俊也は教師だった。事は結婚にで分けると決めていたはずなのに、良さんのでは、息子が靴を洗濯へ入れることさえ「嫁が楽をしている証拠」になるらしかった。
料理にも必ずをした。
「ちょっとくない?」
噌汁をんだ良さんが、満そうに箸を置いた。
「この、健康診断で血圧がかったって言ってたでしょう。今はしめにしたんです」
「またそうやってのせいにする。俊也はもっと濃いが好きよ。
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子供の頃からそうだったんだから」
聞いている俊也は、何も言わない。私が線を向けても、「まあまあ」という顔で笑うだけだった。
番嫌だったのは、私の族まで悪く言われることだった。
「それにしても、あなたのお母さんもずいぶん自由なよね。娘が結婚したんだから、もうし嫁ぎ先に気を遣いなさいって教えなかったのかしら」
「母は関係ないでしょう」
「まあ、そんな言い方するの? 親を見れば子供が分かるって言うじゃない」
私が言い返すと、今度は俊也が面倒そうな顔をした。
その晩、良さんが帰ってから私は俊也に話した。
「ねえ、もうしお義母さんに言ってくれない? 最、本当にきついよ」
俊也はソファに寝転び、スマホを見たまま答えた。
「母さん、そんな悪いじゃないだろ」
「悪いかどうかじゃなくて、言われて嫌なことがあるって話をしてるの」
「悪気はないんだよ。由が気にしすぎなんじゃない?」
またそれだとった。
「悪気はない」「気にしすぎ」。俊也はそのつを言えば、全部終わったことにできるとっている。
「じゃあ、あなたから度ちゃんと話して」
「分かった、分かった。今度言っとくよ」
でも、その「今度」は度も来なかった。
むしろ義父がくなってから、良さんは慮がなくなっていった。
「これで俊也のことをもっと見てあげられるわ」
そう言って、うちの鍵まで欲しがった。私は断ったが、俊也は「何かあったに便利だから」と勝に本作ろうとした。
それだけではない。
ある、洗面所に置いていた品の化粧品がなくなっていた。俊也に聞くと、悪びれもせず「母さんが欲しいって言うからあげた」と答えた。
「なんで勝に?」
「また買えばいいだろ」
「私のおで買ったものだよ」
「夫婦なんだから細かいこと言うなよ」
、良さんはその化粧品を使いながら、私にこう言った。
「ずいぶんそうなの使ってるのね。若いのに無駄遣いばっかりしてるんじゃない?」
謝るどころか、嫌までついてきた。
私はその頃から、自分のなのに、自分のものがしずつなくなっていくような気がしていた。