"赤ワインの余興" 第7話
投げ捨てられた誓い
真由美の体がきくよろめき、砂席のテーブルの角に激突した。
ガシャンと音をてて瓶が倒れ、純のカサブランカと濁ったが、真のドレスのへと無残に散らばった。
修平さんの端正な顔ちは、激しい苦痛と底れぬりで歪んでいた。その瞳から粒の涙が頬を伝ってこぼれ落ちている。を疑うことをらず、純粋にを信じようとした優しい医師のが、無残に踏みにじられた瞬だった。
「触るな……!」
修平さんのから絞りされたのは、獄の底から響くような拒絶の咆哮だった。
「汚らわしいで、俺に触れるな!」
「修平さん……!」
「俺の族を殺して、遺産を奪うだと……!? おのような悪魔と、誰が結婚などするものか!」
「嘘よ、嘘よ修平さん! 私を捨てないで!」
真由美はに突っ伏し、浸しになったドレスのまま泣き叫んだ。しかし、修平さんは度も線をわせることなく、淡に背を向けた。
の関係は、公衆の面で完全に、度と修復できない破局を迎えた。
そのだった。
ガタアァン!
主賓席から、皿やグラスをねばすほどの凄まじい轟音が響いた。郎の父、赤松総が、鬼のような形相でちがったのだ。
「ふざけるなッ!」
老総の声が、井のい会を揺るがした。卓のグラスがね、のカトラリーが甲い音をててへ転がり落ちる。
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赤松総は股で壇へ向かって歩みた。隣につ奥様もまた、厳しい差しで壇の嫁を見据えている。百名の招待客は息を呑んで老総の背を見守っていた。
総は壇の司会者席のまでみると、マイクを力く奪い取った。
そして、会の隅々にまでき渡る威厳に満ちた声で、毅然と言い放った。
「ご列席の皆様、誠に申し訳ございません」
老総は々と度だけをげ、すぐに顔をげた。
「本執りわれましたこの披宴は、相方のな背信為の発覚により、即座に止といたします。また、息子の修平と郷田との婚姻関係は、永久に破談といたします!」
完全なる式典の止と、破談の正式な宣告。
「が赤松は、くの命を預かる医療のを誠実に歩んできた系でございます。己の欲のためにを欺き、族を毒殺しようと企む毒婦を迎えるわけには参りません。このような族をが敷居に踏み入れさせることは、断じて許されません!」
会のあちこちから、招待客たちの納得のため息が漏れ聞こえてきた。
当然の決断だった。
壇のに倒れ伏した真由美は、乱れたドレスを抱えて震えながら、赤松総の元へ縋り付こうとを伸ばした。
「嫌、嫌ですお義父様……! どうかお許しください、あれは本当に冗談だったんです!」
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「冗談だと!?」
赤松総は酷に吐き捨て、その差し伸べられたを革靴の先で払いのけた。
「の命と財産を奪う算段を、誰が冗談と受け止めるとうのか! この恥らずが!」
総のに、真由美は鳴をげてを抱え込んだ。
その、壇の脇でち尽くしていた修平さんが、静かに歩みてきた。
修平さんは自らのを胸のに掲げた。薬指には、純のプラチナで鋳造された結婚指輪が鈍くっていた。のイニシャルが刻まれた、神聖なる夫婦の誓いの証。
「その言葉すら、俺と両親を油断させて毒殺するための罠だったのか」
修平さんはの指先をかけ、切の躊躇なく、その指輪を力任せに引き抜いた。
「修平さん、やめて! それだけはさないで!」
「度と俺の名を呼ぶな」
修平さんはプラチナの指輪を、真由美の元へ投げ捨てた。質な属がを打ち、乾いた音をてて転がっていく。
「おのようなペテン師に捧げるけなど、欠片もしない。俺のから永に消え失せろ」
真由美がのすべてを賭けてに入れようとした玉の輿が、完全に消滅した瞬だった。
「待ってください! 総、どうかお待ちください!」
会の方から、泡をったような叫び声をげて駆け寄ってくる男がいた。
夫の達也だった。