"金髪の女子高生に、娘が「ねえね」と手を伸ばした" 第3話
4ぶりの帰り
紬がをしたのは、その翌週だった。
朝は嫌よくべていたのに、昼寝から起きると頬が赤い。測ると39度あった。かかりつけの児科へ話をして受診し、に戻るころにはもう夕方になっていた。
「湊、お昼べた?」
母に聞かれて、首を横に振った。紬の着替えと診察券とみ物のことは覚えていたが、自分の昼飯のことはすっかり抜けていた。
「何か持っていくから。あんたもし座りなさい」
俺はうなずき、紬を布団へ寝かせた。
眠りかけるとが伸びてくる。いうさぎを握らせても、目をけて俺を探すので、結局ずっと隣にいた。仕事相に納期の相談をして、夜に度だけパソコンをき、泣き声がするとすぐ閉じた。
帆がいたらどうしただろう、と考えるのはこんなときだった。
答えはない。妻も俺も、初めて親になったばかりだった。帆なら何でもできたはずだとうのは、残された俺が勝にそう決めているだけかもしれない。
け方、紬がぬるくなった俺のを頬に押しつけた。
「パパ、ここ」
「いるよ」
布団からはみしたを戻し、俺も横になった。
ががって欲も戻り、久しぶりにいつものを歩いたのは4だった。にられるのがうれしいらしく、紬は端の犬にも、配達のバイクにもを振っていた。
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途、俺の腹が鳴った。紬がを止め、俺のおなかを指さす。
「パパ、ぐう」
「そう。パパもおなかすくんだよ」
紬はし考えてから、自分の持つうさぎを俺の腹に押し当てた。をしていた、俺がそうしていたのを覚えているらしい。
の真んで笑ってしまった。まだしたかったが、ようやく軽くなった気がした。
コンビニので凛を見つけたのは、俺のほうが先だった。
彼女はこちらを見ると、みかけのパックを脇の台に置いた。
「どこってたの」
いがけない勢いで、俺はを止めた。
「え?」
「いや、最来ないから」
「紬がをして。ようやく元気になったんです」
「? 何度?」
「いちばんいときで39度くらい。今はもう丈夫です」
凛はしゃがみ込み、紬の顔をのぞいた。いつもの飾りにが伸びても、そのは何も言わなかった。
「……よかった」
それから、の甲を紬の額にづけたところで俺を見た。俺がうなずくと、髪を避けてそっと触れた。
「あったかくないね」
「ねえね、だっこ」
「治った途端にそれかよ」
ではそう言いながら、凛はすぐに抱きげた。紬の靴が制に当たらないよう、片ずつ向きを変えている。
「何か、すみません」
「別に。毎来いって言ってるんじゃないし」
「配してもらってたんですね」
「……つむちゃんがね」
分かっています、と言いかけてやめた。
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凛が紬の顔に頬を寄せられて、どうにか平静を保とうとしていたからだ。
「パパも寝てない?」
「分かります?」
「目の、すごい」
片で自分の目元を指してみせる。その袖から、折り畳んだが落ちた。拾おうとした俺より先に、凛がで押さえた。
見えたのは、希望調査という文字だった。
「もう決めたんですか、卒業したあと」
「まだ」
「絵とか、興あるのかなとって。この、仕事のこと聞いてたから」
凛の表が変わった。
「ないよ。別に」
紬を俺の腕へ戻すと、彼女はを拾い、かばんの奥へ押し込んだ。パックを取りにく背を見ながら、俺は余計なことを言ったとった。
「すみません。ち入ったことを」
「……こっちこそ」
返事はさかった。凛はストローを抜きかけ、また差し戻した。
「仕事で描くのってさ」
俺が顔をげると、彼女はもう目をそらしていた。
「いや。何でもない」
み残しのさを確かめるように、パックを両で持ち直した。