"金髪の女子高生に、娘が「ねえね」と手を伸ばした" 第1話
そのを引っ込めないで
「ねえね」
娘が声をげたとき、俺はもう、コンビニの入を通り過ぎようとしていた。
自ドアの脇に、制姿の女の子が3いる。真んの子は髪がるいで、にはいくつもピアスがっていた。片にスマホを持ち、壁に背を預けている。
駅に怖いがいるらしい。昨、弟の翔が夕飯の席でそんな話をしていたのをいした。
「紬、帰ろう。アイスはまた今度な」
抱き直した娘は、俺の肩越しにを振っている。1歳10かになったばかりの紬は、女のを見るとすぐ「ねえね」と呼ぶ。さっき薬局のレジでも員さんにを振っていた。
ただ、今度の相はこちらに気づいたらしい。
髪の子がスマホをろし、づいてきた。俺は反射に娘を胸のほうへ寄せた。彼女の線が、その腕のきに落ちた。
「……すみません。うちの子が」
「この子」
い声だった。続く言葉を待ちながら、ので謝り方を考えていた。
「めちゃくちゃいんだけど」
顔をげると、彼女は紬の目のさまでかがんでいた。
「何。私のこと呼んだ?」
「きらきら」
紬が元を指す。彼女は自分のピアスに触れ、それからろの2を振り返った。
「きらきら、だって」
「聞こえたって。凛、顔やばいよ」
「うるさい」
言い返す声とは裏腹に、頬が赤かった。紬はますますを乗りし、両腕を広げた。
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「だっこ」
「いや、紬。それは……」
「私でいいの?」
彼女は俺を見た。勝にをすことはせず、半歩れたところで待っている。
断る理由を探した自分が、し恥ずかしかった。
「嫌でなければ、しだけ。急に反り返ることがあるので」
「こう?」
荷物を元に置いた彼女に、紬をそっと渡した。慣れているようには見えない。それでも片腕でお尻を支え、もう片方のを背に添えていた。指輪をしたの爪は、どれもく切ってあった。
紬はさっそくの髪に触ろうとした。
「引っ張るかもしれないので、気をつけて」
俺がを添えると、彼女はおかしそうに笑った。
「さっきから、ずっと隣にいるじゃん。丈夫だって」
言われて、自分が歩もれていないことに気づいた。腕をろしても、まだ娘のに触れられる距にいる。
そのに紬は髪へ伸ばしたを変え、彼女の頬をぺたりと触った。凛は驚いたように瞬きし、まっすぐ顔を見わせた。
「……何?」
紬が笑う。凛も、つられたように元を緩めた。
「きれいねえ」
「……そんなこと言われたの、初めて」
彼女の胸元で、紬がいうさぎを持ちげた。片の付け根に、俺のな縫い目が残っている。
「みみ。どうぞ」
「くれるの?」
「どうぞ」
彼女は受け取りかけて、うさぎのを見た。それから紬の腕のへ戻した。
「やっぱ借りるだけにしとく。事なんでしょ、これ」
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戻ってきたうさぎを抱え、紬が笑った。
「お名、なんていうの」
「紬です。糸へんに、由来の由で」
「つむぎ。……つむちゃんか」
彼女が呼ぶと、紬はうれしそうに返事をした。
俺の娘なのに、こちらへ戻るときにはしぐずった。髪の子は困った顔で笑い、紬のを指先で握ってからした。
「じゃあね。つむちゃん」
「ねえね、ばいばい」
結局アイスを買いそびれ、俺たちは駅と反対側のを歩いた。薬局の袋が膝に当たり、紬は俺の肩にあごを乗せて、まだろを見ている。
「凛って呼ばれてたな、あのお姉ちゃん」
「りん、ねえね」
覚えるのがい。俺が笑うと、紬もうさぎを振った。
交差点で信号を待つに、俺も度だけ振り返った。
凛はまだのにいた。友達がスマホを差ししているのにも気づかず、さっきまで紬を抱いていた自分の両を見ていた。