"役立たずの僕が、上司を救った夜" 第4話
署名をしなかった理由
「原価ががっているのは、うちだけじゃないよ。鳥君」
榊原の声は、廊にも聞こえた。
「承しています。ただ、改定理由と額がいません。先方に確認させてください」
「そこは私のほうで済んでいる。君は販売価格の調を考えてくれればいい」
健太が通り過ぎようとすると、凛が類を持ってちがった。
「そのためにも、仕入れ価格の内訳が必です」
彼女は扉のところで健太に気づいたが、何も言わず、自分の席へ戻った。榊原も穏やかな顔のまま、健太へ朝の挨拶をした。
凛と話せたのは、始業のわずかなだった。
健太は黒崎から聞いた話を、確かめられていない部分も分けて伝えた。父親に助けられたという話、病での頼み事、そして榊原の名。
凛は途で度だけ、父の言葉を聞き返した。
「話だけでも聞いてやってほしい、って?」
「そう聞きました」
「……父らしい。私には、もうしを頼れって、そればかりだったから」
彼女は机の写真てをし持ちげた。父親がので笑っている。朝のが反射して、隣につ制姿の凛が見えた。
「そのを助けた話は、りませんでした。でも、昔のりいだというから、会いたいって連絡は来てた。お断りしたのに、あの夜は……」
写真てを戻す指が、縁で止まった。
「善だと言われても、怖かったことは変わらない」
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「会わなくていいといます」
健太が答えると、凛はさく息を吐いた。
「聞いたことを教えてくれて、ありがとう」
話が鳴り始め、営業部にが増えた。話はそこで終わったが、昼、凛が健太を打ちわせ用の机へ呼んだ。
「朝の件とは別に、伝ってほしいことがあるの」
広げられたのは、取引先へ提示する価格改定の資料だった。営業側の確認欄には、まだ誰の署名もなかった。
「この商品、配送はどこがしてたか覚えてる?」
健太は昨の入荷票をいした。
「宮商です。いトラックの」
凛が請求元の欄を指した。そこには、別の会社名が印刷されていた。
「窓が変わること自体は珍しくない。でも、からに社入って、仕入れ価格が18%がった。今回はさらに値げすると言ってる」
「運んでくるは、ずっと同じですよね」
「そう。品質も配送回数も変わってない。理由があるなら、その説がほしいの」
取引先へ値げを頼めば、現では商品をされるかもしれない。その結果を受け持つのは営業なのに、根拠を確認するなというのはおかしい。凛はそう言って、健太へ入荷票の控えを頼んだ。
単純な作業だったが、今度はく終わらせたいとった。
倉庫の担当者に確認すると、納品の仕方も昨と変わっていなかった。健太は覚えで補わず、控えをそろえて持ち帰った。
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凛はそので目を通し、何枚かに印をつけた。
「ここ、見て。返品の連絡先も宮商のまま」
彼女はすぐに話をかけた。健太が気づいたことを、仕事として確かめていく。その隣で、彼は自分にもできることがあるのだと、久しぶりにった。
午、凛は価格改定の承認を保留し、資料を添えて購買部へ再確認を依頼した。宛先を見直し、健太の目ので送信する。
「専務のことも、調べるんですか」
「黒崎さんの話は、まだ噂でしょう。それとは別に、これは私の仕事だから」
凛は画面を閉じた。
「誰がした類でも、わからないものに名はけない」
そのの16過ぎ、凛の携帯が鳴った。
6から担当している取引先の部だった。彼女はいつもの声で挨拶をしたが、すぐに返事がくなった。
「写真、ですか。何の……」
送られてきた画像をいた凛のが止まった。隣にいた健太にも、画面が見えた。
昨のに、凛と3の男が写っていた。
話の向こうの声が、かすかに漏れた。
「鳥さん。この方たちと、どういうお付きいなんですか」