"役立たずの僕が、上司を救った夜" 第2話
お嬢と呼ぶ男たち
「昔、し格闘技をやってまして」
答えながら、健太は元の棒を男たちからした。凛はそのきを見て、彼の顔へ線を戻した。
「しって、どのくらい」
「学の頃に、いろいろ」
「私、まだ何も具体なこと聞いてないけど」
健太が答えに詰まると、壁際の男が顔をげた。
「待ってくれ。俺たちは、このに何かするつもりじゃなかった」
「腕をつかんで、を塞いでおいて?」
凛は男から距を取り、携帯話をした。
「お嬢、本当に話だけなんです。鳥誠さんのことで」
父親の名がた瞬、彼女の指が止まった。
「父は2にくなりました。用があるなら、まず名と連絡先を教えてください。こんなところで囲まれる理由はありません」
男はをつぐみ、懐から名刺をした。凛は受け取らず、そこへかれた文字を携帯で撮った。
健太は彼女の隣にったまま、男たちの顔と装を覚えた。首を痛めたらしい男も、自分でつことはできた。やがて3は、互いの肩を支えながらをていった。
凛は話で事を伝え、そので待った。健太も残り、来た警察官に自分が見たことと、止めに入った経緯を話した。
の入では、閉作業の居酒の主が様子をうかがっていた。軒の防犯カメラが、こちらを向いている。
「すみません。
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今夜の映像、消さずに残してもらえますか」
健太が頼むと、主は警察官を見てから頷いた。
「何頃か、控えときますよ」
帰れるようになる頃には、凛の首に赤い跡が残っていた。健太はコンビニの袋から未封のをし、彼女へ渡した。
「駅まで送ります」
「お弁当、めたね」
「温め直せばべられます」
凛はの蓋をけようとして、指を止めた。健太がをしかけると、彼女はへ持ち替えて、自分でけた。
「ありがとう。来てくれて」
健太は返事をするまでにしがかかった。
「たまたま通っただけです」
「通り過ぎることもできたでしょう」
凛はそれ以、正体を尋ねなかった。駅へ向かうも、健太が何度か背を確かめるたび、黙ってを止めて待ってくれた。
翌朝、営業部では田が昨の会議資料を探していた。
「藤、どこ置いた? また違う棚に入れたんじゃないの」
「共フォルダにも入れてあります。印刷した分は、田さんの引きしのです」
「ああ、あった」
田はそのまま自分の席へ戻った。しれた所から凛が見ていたが、健太は気づかないふりをした。
昼過ぎ、倉庫から戻る廊で、健太は扉のにち止まった。直、内側から台が勢いよくてきた。
「すみません!」
押していた若い社員がをげる。健太はを譲り、そのろにいた凛と目がった。
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「見えてたの?」
「輪の音がしたので」
「そう」
彼女はそこで話を終えたが、夕方、健太が退勤しようとしたときに呼び止めた。
「昨のこと、会社で話すつもりはないから」
「助かります」
「ただ、私にもらせて。あのたちから何か連絡が来たら」
健太は頷いた。凛が求めたのは、彼の過ではなかった。自分のことで、自分だけが何もらない状態にしないでほしい。その頼みなら、守らなければならないとった。
会社をて、最初の交差点を曲がったところだった。
肩の黒いの窓がき、部座席の男が声をかけてきた。
「藤健太さんですね。昨夜は、うちの者が失礼しました」
助席には、で凛に名刺をした男が座っていた。
健太がを止めると、部座席の男は枚の写真を窓越しに見せた。若い頃の彼と、穏やかな顔の男が並んで写っている。
もうの顔には見覚えがあった。凛の机に置かれた、さな写真てののだった。
「鳥誠さんのことで、聞いてほしい話があります」