"役立たずの僕が、上司を救った夜" 第1話
コピーのにいた男
「鳥課、藤に任せるくらいなら、俺がやったほうがいですよ」
田がそう言ったとき、健太はコピーので、の逆になった資料をそろえていた。入社して4かになるのに、この械とはどうにも相性が悪い。朝の営業部にさな笑いが広がり、健太もつられたように元を緩めた。
「すみません。もう度やり直します」
「そうして。会議は9半からだから」
鳥凛は腕計を確かめると、自分の席へ戻った。32歳で営業課。3続けて部内の売が最もく、取引先との交渉でも、部の報告を聞くときでも、曖昧な返事を嫌うだった。
藤健太、29歳。そんな司ので、できれば目たずに働いていたかった。
自分に任せようとわれなければ、それでいい。資料を印刷し直しながら、健太は背に刺さる線をやり過ごした。
午、田がいファイルを机へ置いた。
「これも頼む。あと、昨の見積、数字だけ入れといて。俺、るから」
「見積は田さんの担当でしょう」
くで話を終えた凛が、受話器を置いた。
「でも、こいつ今、回りないですし」
「にないが暇とは限らない。藤さんには、午の入荷確認を頼んでる」
田は何か言いかけ、結局ファイルだけ持ってった。健太が礼を言おうとすると、凛は彼の元を指した。
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「それと、送付先の確認。の担当者の名が残ってる」
「あ、本当だ。直します」
「送るに気づいてよかった。次からは宛名も確認して」
庇われたとった直に叱られたので、健太は返事をしながらし困った。ただ、このは仕事の違いと、その自を同じものにはしないらしい。
夕方まで倉庫と事務所を往復し、最の台を戻すと、机に缶コーヒーが置かれていた。
「蔵庫に入れておいたけど、もうぬるいかも」
隣の通で凛が類を抱え直した。
「俺にですか」
「ほかに誰がいるの。今、ずっと荷物を運んでたでしょう」
「でも、朝からいろいろ違えてますし」
「それは直して。働いた分まで、なかったことにはならないから」
凛はそれだけ言って会議へ入った。健太は缶の滴を指で拭った。誰からも期待されないのは気楽だったが、働いていたことを見てもらえるのは、っていたより嬉しかった。
残務を終えたのは22を回ってからだった。
会社をる直、凛が裏のガラス越しにを見ていた。昼も、らない番号から着信があったあと、同じような顔をしていた気がする。
気になったが、健太は声をかけなかった。
誰かの事へ踏み込めば、いずれ何かを求められる。今の自分には、それを引き受ける資格がない。
2230分。コンビニで弁当を買い、駅へ向かう途だった。
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「だから、お会いするつもりはありません」
細いの奥から聞こえた声に、健太のが止まった。凛のに男が3っていた。彼女がへけば、の男もく。
「度でいいんです。親父の話を聞いてください」
「そこをどいてください。警察を呼びます」
男のが凛の首をつかんだ。
健太は買い物袋を元に置いた。
「その、してもらえますか」
「藤さん?」
凛の声が変わった。
「来ないで。あなたは警察に話して」
男が振り返り、健太をからまで見た。
「会社のか。関係ないなら引っ込んでろ」
「司なんです。関係はあります」
胸元へ伸びてきたをすと、男がよろめいた。もうが凛の腕を引いたため、健太はへ入った。界の端で属の棒がり、体が先に反応した。
いものが面に落ちる音がした。
次に凛が声をせたときには、男たちは面や壁際できを止めていた。健太は彼女のにち、まだ起きがろうとする者がいないか確かめていた。
10秒も経っていなかった。
「怪、ありませんか」
いつもコピーので聞くのと同じ声だった。
凛はつかまれた首を押さえ、健太を見た。
「藤さん。あなた、いったい何者なの」