"年収三千万円の嘘" 第11話
借だらけの婚活
披宴での修羅から数ヶが経った頃、あのが辿った凄惨な末は、共通のたちの噂話を通じて自然と私のに入ってきた。
まず、結婚式への千百万円の支払いは、双方の両親がにて替えたものの、式の直に両入り乱れての激論へと発展したという。
康太の父親は「息子の始末をこれ以庇うことはできない」と激し、即座に康太を親族の戸籍から事実の勘当とし、貸し付けた百万円に対する公正証を作成して毎の厳格な返済を求した。
美の両親もまた、娘の愚と嘘にを尽かし、「援助したは全額借として利息をつけて返せ」と通告してきたらしい。
さらに追い打ちをかけたのが、私の代理弁護士から送達された内容証郵便だった。
婚姻期の確な貞為の証拠――美自らが勝ち誇って吹き込んだ通話録音、ファミレスでの目撃証言、そして産婦科の週数記録――を突きつけられたは、切の反論の余を奪われ、最終に計百万円の慰謝料の支払いにせざるを得なくなった。
「収千万のエリート医師夫」になるはずだった美のは、瞬にして「千万円を超える借を背負った無職の男の妻」という悪へと反転したのだ。
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ある猛暑の曜の午、健太をサッカースクールへ送り届けた私のスマートフォンに、非通設定の着信が入った。
嫌な予を覚えながら応答すると、受話器の向こうから、憔悴しきった美の切り声が響いてきた。
『……まりなさん、お願いだから慰謝料の分割払いを待ってよ! もう今のご飯代すらないのよ!!』
周囲の赤ん坊のけたたましい泣き声と、アパート特のい壁の活音が、受話器越しに々しく伝わってきた。
「お話番号は弁護士を通じていただくようにお願いしていたはずですが。個な連絡はお断りします」
『そんなこと言ってるじゃないのよ! 康太のやつ、全然まともに働かないの! 「の奥さんの病院より格の職なんてけるか」ってプライドばかりくて、ハローワークの仕事もで辞めてきちゃうのよ!』
「それは、あなた方が選んだしいご庭の問題でしょう。私に愚痴を言われても困ります」
『あんたの元旦でしょ! あんたがも甘やかしてヒモ飼いにしてたから、あんな使い物にならない粗ゴミになったんじゃないの! あんたにも責任があるでしょ!!』
あまりの勝な責任転嫁に、私は呆れ果てて言葉を失った。
「美さん、しをやしなさい。彼は医師でも何でもなく、ただの無職の男だと、私は最初から教えてあげたはずよ。
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それを『収千万の玉の輿』だと勝に信じ込み、の庭を壊して略奪したのはあなた自じゃない」
『う、嘘つき……! あんたが持ちだからって……!』
「私は持ちだから平穏なのではありません。自分のでち、自分の技術で患者と向きい、汗を流して対価を得ているから活が成りっているのよ。の威にタダ乗りして贅沢をしようとしたツケを、私につ当たりするのはお違いよ」
『……お、返してよ』
美の声が、急激に湿っぽく掠れた。
『彩の習い事も全部辞めさせなきゃいけなくなったの。産すぐなのに、私も来から夜のパートになきゃいけないのよ……こんなはずじゃなかった……こんなはずじゃ……』
「子どもたちに罪はありません。だからこそ、であるあなたたちが、見栄を捨ててすすってでも働くべきでしょう。度と話してこないでください」
通話を切り、私はくため息をついた。
の転落をぶような趣は私にはない。
けれど、自らの虚栄と悪によって者を傷つけたが、その因果応報によって自らののツケを払わされている景に、余計な同を差し挟む余もまた、私には微もなかった。
康太は現、郊の配送センターで夜の荷分けのアルバイトを掛け持ちしながら、両親と私への返済に追われる々を送っているという。
かつて私が買い与えたブランド物の計やゴルフセットはすべて質に消え、築数の造アパートで、鳴き止まぬ赤ん坊と妻の罵声に怯えながら暮らしているらしい。
私はスマートフォンをバッグの奥底へしまい込み、青空のでボールを追いかける息子の姿へと、静かに線を戻した。