"年収三千万円の嘘" 第7話
嘘をねる
式への払い期限が迫る、康太と美が選んだは、式の縮や止ではなく、さらなる「嘘の塗り」だった。
康太は方で暮らしをしている実の両親のもとへ泣きついた。
「まりなに病院の同僚医師と浮気され、精神に追い詰められて婚した。無文で放りされたが、美さんがの体で俺を支えてくれた。彼女とまれてくる子のために、どうしても式を挙げて男としてのケジメをつけたい」
敬虔で実直な康太の両親は、息子のついた真っ赤な嘘を信じ込み、老の蓄えを取り崩し、先祖代々のを担保に入れてまで、百万円もの現を面してしまったという。
方の美も、自分の両親に対して涙ながらに訴えた。
「康太くんが医師だというのは、の奥さんの嫌がらせのデマだった。でも彼は本当に私と子どもをしてくれている。式をキャンセルしたら違約で彼のが終わってしまう」
娘の妊娠を盾に取られた美の両親もまた、親戚にをげてかき集めた数百万円を差しした。
血を吐くような親たちの老資を掻き集め、彼らは千百万円という途方もない婚礼費用を引に決済したのだ。
すべては、自分たちの面子と、私に見せつけるための虚栄のためだけに。
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そんな沼の暗闘などらず、私と健太の毎は、の訪れとともにますます輝きを増していた。
夜勤当直を切れた私の活リズムは完全に定し、朝は健太と緒に焼き魚と噌汁の朝を取り、夕方はに帰宅して息子の宿題を見る。
健太の所属するサッカークラブの保護者たちとの関係も、これまで以に良好になっていた。
「まりなさん、ナイスキーパー!」
季会の準決勝、グラウンドのベンチでメガホンを握る私の隣で、ママ友たちが笑顔で声をかけてくれる。
「まりなさんが毎回来てくれるようになってから、健太くんのきが全然違うよね」
「本当ですか?」
「ええ! はどこか寂しそうにグラウンドの隅っこを見てたけど、今はシュートを決めるたびにお母さんの顔を探して、すっごく誇らしそうに笑うもの」
応援席の最列から見守る私の線に気づいた健太が、ユニフォームのを払いながら、親指をグッとてて見せた。
胸の奥がくなり、界が滲んだ。
かつての私は、「医師として成功し、莫な資産を遺してやることこそが母親のだ」とい込んでいた。だが、歳の息子が本当に欲していたのは、億単位の通帳残などではなく、だらけのゴールを決めた瞬に、誰よりもきな拍を送ってくれる母親のぬくもりだったのだ。
そんな穏やかな々が続く、ついに結婚式となった。
共通のの番号を経由して、美から押しのメッセージが届いた。
『は遅刻しないでよね。友代表スピーチ、逃げたら承しないから。あと、会には親族や事なお客様がたくさんいるんだから、余計な昔話をして恥をかかせないでよね』
私はややかに笑い、画面をタップして言だけ返信した。
『解しました。真実のみを、正確にお話しさせていただきます』
余計な嘘など、言も交える必はなかった。
語るべき真実は、すでに私の元にすべて揃っていたのだから。