"年収三千万円の嘘" 第6話
豪華な結婚式
それから週、箔の押し加が施された豪勢な招待状ががに届いた。
差は康太、そして佐伯美。
会は都内でも指折りのつ資系ホテルの宴会だった。同封された案内状のペーパーアイテムを見るだけでも、特注の最級が使われており、料理のコースや装、演に至るまで、湯のようにを注ぎ込んでいることが目で分かった。
「うわあ……すごいホテルだね。ここ、テレビで芸能が結婚式してるところだよ」
健太が招待状を覗き込んで目を丸くした。
「見積もり、体いくらねがってるのかしらね」
「お父さん、本当にお払えるのかなあ。僕のお遣い、千円くれるときもすっごくケチってたのに」
健太の素朴な疑問は、あまりにもを射ていた。
私と婚姻関係にあった余り、康太自の個名義の座には、雀の涙ほどの残しかなかったはずだ。私が毎渡していたお遣いのからいくらかヘソクリを作っていたとしても、せいぜい数万円程度。こんな格式のホテルで百規模の披宴をけば、最でも、百万円、オプションを積めば千万円の台を軽々と突破する。
その頃、郎婦のでどんな阿叫喚が繰り広げられていたのかは、に共通のを通じてることになった。
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美は「収千万のドクターの妻」という虚栄に完全に酔い痴れ、ドレスは名デザイナーのオートクチュールを着特注し、料理は最ランクのフレンチフルコースにキャビアとトリュフのオプションを付け、プロのゴスペル隊まで配したという。
康太は最初のうち、医師の分を偽っている、格好をつけて「美の好きなようにしていいよ」と盤振るいを気取っていたらしい。
だが、現実は残酷だった。
挙式のヶ、式側から突きつけられた「払い」の請求を見た瞬、康太の顔面は気に変した。
あるの夜、私のスマートフォンがけたたましく鳴り響いた。画面には美の番号が表示されている。
通話ボタンをスワイプすると、第声から狂乱した鳴り声が鼓膜を突き破らんばかりに響いてきた。
『まりな!! あんた、どういうつもりよ!! なんで黙ってたのよ!!』
「夜分に何かしら。所迷惑だから声を落としてもらえる?」
『すっとぼけないでよ! 康太くん、医者なんかじゃないじゃない!!』
ついに化けの皮が剥がれたらしい。
私は元のハーブティーを啜り、静に返した。
「ええ、っているわよ。最初から言ってるじゃない」
『だったら何で、私が「収千万の医者」って言ったに否定しなかったのよ! 普通教えるでしょ!』
「なぜ私が、元夫の倫相に親切に事実を教えてあげる義理があるのかしら? 結婚する相の職業や勤務先を、事に自分の目で確認しなかったあなたの落ち度でしょう」
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話の向こうで、美の荒い呼吸音が響く。
「それで、最終見積もりはいくらだったの?」
『……千百万よ! 今週末までに半額の受を振り込まないと、式自体が破談になるって言われたのよ!』
「へえ、ずいぶん豪華にしたのね。頑張ってで払いなさいよ」
『払えるわけないでしょ! あいつ、貯が円もないどころか、消費者融に借まであるって状したのよ! ずっとあんたの扶養に入ってた無職のヒモだったなんて……聞いてないわよ!』
美のヒステリーの背で、ガタンと何かが倒れる音とともに、けない康太の声が割り込んできた。
受話器が荒っぽく奪い取られ、康太のけない懇願がにび込んできた。
『ま、まりな! 頼む、助けてくれ! を貸してくれ!』
あまりの顔無恥さに、私は失笑を禁じ得なかった。
「……どのがそんなことを言っているの?」
『千万でいいんだ! おの資産なら端だろ! 今キャンセルしたら違約だけで百万取られるんだよ! 美の親族も呼んでるし、もう引っ込みがつかないんだ! 頼むからて替えてくれ、必ず毎返すから!』
「断るわ。円たりとも貸す気はないわよ」
『なんでだよ! も夫婦だったってものがないのかよ! 殺し! 血女!』
「倫して私と息子を捨て、臨いとく豪華な結婚式の費用を、元妻がて替える法律がどこの世界にあるの? の丈にわない見栄を張ったのはあなたたち自よ。
自分たちのケツは自分たちで拭きなさい」
『ま、待てよまりな! 美のお腹には俺の子が――』
ピッと通話終ボタンを押し、私は即座にその番号を着信拒否リストに追加した。
あのがどんな破滅の沼にを踏み入れようと、私と健太には何の関わりもない。
だが、あの男たちが面子を守るために選んだ「次の段」は、私の像を遥かに超えて浅ましいものだった。