"「姉の足を折る」と笑った地元の顔役――7年ぶりに帰った“工場勤務”の弟を見下したが、彼の本当の勤務先を知った時にはもう遅い" 第4話
砕かれた朝堂
「里堂」ので、森川弁護士はすでに待っていた。
40歳の細の男で、スーツの袖をまくり、首からカメラをげている。挨拶もそこそこに、壊れたシャッターへ線を向けた。
「警察の現確認が終わった、誰かに入りましたか」
「姉は入っていません。鍵は俺が預かっています」
「では、入るから撮しましょう」
板の央にはきな亀裂がり、い文字のに赤い塗料が垂れていた。シャッターは央がへこみ、脇のガラスには蜘蛛の巣状のひびが入っている。
森川は入、、向かいの舗を順番に撮し、刻を音声で残した。俺たちは袋と靴カバーを着けてへ入った。
内には、噌と油と乾いた血の匂いが混じっていた。
子は脚を折られ、テーブルは横倒しになっている。炊飯器の内釜がに転がり、割れた茶碗の破片が朝を反射していた。レジはこじけられ、売だけでなく、レジ横に置かれていた募箱まで消えている。
奥の壁には、初に母が贈った刺繍が飾られていたはずだった。額はつに割れ、布には靴跡がついている。
「ここです」
森川がを指した。
テーブルの角から入へ、黒ずんだ血の跡が続いていた。由美子がを打った所だ。
りで奥歯が鳴った。けれど、俺は何にも触れず、位置と距を記録した。
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「由美子さんには、私も助けられました」
撮を続けながら森川が言った。
「司法修習を終えても仕事が決まらなかった頃、毎朝ここに来て、噌汁と御飯だけ頼んでいたんです。由美子さんは度も嫌な顔をしなかった。卵焼きを黙って付けてくれたもありました」
彼がここへ来た理由は、俺への好ではない。姉との15に、自分で返すべきものがあるからだった。
厨の棚で、監カメラの説と契約を見つけた。カメラは3、配達用両への悪戯が続いたに設置したものだ。録画装置はカウンターにあったが、コードを引きちぎられ、付け記録媒体も持ちられていた。
「やはり映像は残っていないか」
俺がつぶやくと、森川は契約の端にあるさな文字を指した。
「クラウド保30。由美子さん、追加契約をしていたようですね」
舗のパソコンは壊されていたため、森川の端末から管理画面へ接続した。姉に話して本確認をい、再発されたコードを入力する。
画面に、の映像覧が表示された。
入、客席、レジ、厨。4台のうち、入のカメラは最初に壊されていた。しかし客席側のカメラは、破壊される直まで映像を送信している。
1406分、黒いワゴンがのに止まった。7の男が入し、最に腹のた男が現れた。
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田蔵だった。
音声には、子を蹴る音と姉の声が入っている。
『ここは売りません。帰ってください』
『女で、いつまでを張れるか見ものだな』
直、男たちが斉にき始めた。田自はをさず、カメラの角へがっている。だが、止める様子もない。
1411分。由美子がレジを守ろうとしたところで映像が激しく揺れ、井を映した。男の腕が伸び、姉の体が画面から消える。鈍い衝突音がして、誰かが「社、血が」と叫んだ。
田の声が返った。
『放っておけ。を持ってるぞ』
森川が映像を止めた。
「これは必ず複数の所に保します」
暴と窃盗を裏づけるな記録だった。しかし田が破壊を命じる瞬は映っていない。伊藤が“部が勝にやった”と処理する余は残っている。
俺は映像を最初から見直した。
黒いワゴンが止まる直、向かいのクリーニングから軽自がている。方のドライブレコーダーなら、側にっていた田のきを捉えているかもしれない。
その、のでタイヤが鳴った。
窓の隙から見ると、田興産のロゴが入ったいが肩に止まっている。運転席の男がスマートフォンをに当て、こちらを見ていた。
俺たちが映像を見つけたことは、まだ誰にも話していない。
それでも田は、もうき始めていた。