"「姉の足を折る」と笑った地元の顔役――7年ぶりに帰った“工場勤務”の弟を見下したが、彼の本当の勤務先を知った時にはもう遅い" 第3話
包帯を巻いた姉
央病院の3階、循環器内科の病で、母は点滴を受けながら眠っていた。
髪は記憶よりずっとくなり、布団のにたはさかった。ベッド脇には、額に包帯を巻いた女が突っ伏している。の褪せたブラウスの肩が、呼吸にわせてゆっくりいていた。
「姉ちゃん」
呼ぶと、由美子は弾かれたように顔をげた。の頬に青い痣があり、包帯の端には乾いた血が残っている。
俺だと分かった瞬、姉は泣く代わりに眉を寄せた。
「どうしてこんなにに焼けてるの。での仕事までさせられてるの?」
自分が8針縫った翌朝にも、配するのは俺の方だった。
「ちゃんとべてるよ。姉ちゃんこそ、痩せたな」
「をやってれば普通よ」
母が目を覚まし、俺の名を呼んだ。を握ると、何度も「帰ってきてくれてよかった」と繰り返した。その声を聞くほど、7というが胸にくのしかかった。
午9を過ぎた頃、病に3の男が入ってきた。
先は商振興組の佐佐会。そのろに、制姿の警察官が2いた。の方を見て、由美子の肩が固くなる。
「峰署の伊藤警部補よ」
姉が声で教えた。
佐佐は果物籠を机に置き、母へ々とをげた。
「変でしたねえ。組としても配しているんですよ」
見いの言葉をつ並べた、すぐ本題に入った。
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「田社が、1400万円まですとおっしゃっている。あの広さのにしては破格です。これ以揉めるより、売って治療に専した方がいい」
「売りません」
由美子はを向いたまま答えた。
「あのは、私が15かけて作ったです」
伊藤が歩へた。
「佐藤さん、にならないでください。昨の件は双方の言い分が違う。田さん側は、あなたが鍋を投げたと話しています」
「投げてません。を壊されたから、やめてと腕をつかんだだけです」
「それも接触ですからね。傷害事件として扱えば、あなたの方も事聴取が必になる」
姉の指が震えた。母も布団を握りしめている。
「被害届は受理されていますか」
俺が尋ねると、伊藤は初めてこちらを見た。
「あなたは?」
「弟の健です。受理番号を確認したいだけです」
伊藤はわずかに目を細めた。
「捜査のことを部者に説するわけにはいかない。お姉さんも相の提案を受ければ、これ以怖いいをせずに済むでしょう」
警察官が被害者に言う言葉ではなかった。
佐佐たちが帰った、由美子は鞄から折れ曲がった類をした。3件分の相談記録と、昨の被害届の控えだった。
「最初の相談をした夜、田から話が来たの。“んだ鼠くらいで警察に泣きついたのか”って」
鼠の件は、警察にしか話していなかったという。
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2回目はタイヤにいていた傷の位置。3回目は内で由美子が録音したことまで、田は翌にはっていた。
偶然が3回続くことはない。
だった。
しかも3件とも、記録の担当者は別だったのに、閲覧にち会った司の欄には伊藤の名があった。
俺は控えの受理と担当者名をスマートフォンに記録した。
「健、お願いだから無茶はしないで」
「しない。まずを見る」
「あそこにはかないで。田のが見張ってるかもしれない」
「だからではかないよ」
俺は病をて、列ので調べておいた番号へ話をかけた。
相は3回目の呼びしでた。
「森川法律事務所です」
「佐藤由美子の弟です。姉のを、現のまま確認してもらえませんか」
話の向こうで子が鳴った。
「由美子さんの弟さん? 今、峰にいるんですか」
森川亮は、姉のに10以通う客だった。
「かさないでください。警察が頼れないなら、なおさら現を残す必があります。私も30分できます」