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"娘の披露宴に新郎側が全員欠席――清掃員の夫が動いた" 第3話

娘の婚約と、隠された違

の曜、族で夕飯を囲んでいたのことです。 肉じゃがの鉢をに、紗良がふっと箸を置き、居まいを正しました。

「お父さん、お母さん。……私、尚弥さんと結婚しようとうの」

私は驚いて、わず隣の夫の顔を見ました。 夫は噌汁の椀を持ったまま、娘の顔をじっと見つめていました。

「そうか」 数秒の沈黙の、夫はゆっくりと椀を置きました。

「尚弥君なら、いいとうよ」

「本当? よかった……!」 紗良は胸にを当てて、ホッとしたようにきく息を吐きしました。 反対されるとはっていなかったでしょうけれど、やはり緊張していたのだといます。

紗良のの薬指には、細いプラチナの指輪がっていました。 週の曜、の見える公園でプロポーズされたのだと、嬉しそうに教えてくれました。

「式はがいいかなって話してるの。尚弥さんの仕事、はビルの空調点検で番忙しいから」

「か。それなら、し急いで準備しないとな」 夫はそう言って、ちがるとカレンダーをめくりました。 気のい夫の姿に、私と紗良は顔を見わせて笑ってしまいました。

郎の桧尚弥さんは歳。 紗良とはの、友の紹介でりいました。 それから何度もわがに遊びに来て、緒に夕飯をべていました。

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初めてに来たのことを、私はよく覚えています。 夫の仕事が清掃員だとった、尚弥さんは真っ直ぐな目で言いました。

「を支える、事なお仕事ですね」

その帰り際、尚弥さんは玄関の隅に置かれた夫の作業靴に目を留めました。 靴底がすり減り、つま先の革がく擦れている靴でした。

「相当、歩かれるんじゃないですか?」 「まあ、万歩くらいかな」 夫が何気なく答えると、尚弥さんは目を丸くしてしていました。

「僕もビルの点検で歩きますけど、そこまではいきません。ががります」

その素直な言を聞いて、私はこの青なら娘をして任せられると確信したのです。

紗良の話では、尚弥さんの実は「桧設備」という設備事の会社を経営しているとのことでした。 ビルの空調や排の設備を請け負う会社で、社員はほど。 社は尚弥さんの父親で、尚弥さんは将来の継ぎとして現で働いていました。

社のと聞いて、私はし気れしました。 うちは共働きのごく普通の般庭です。 分違いなどと言われないだろうかというが、胸をかすめました。

すると紗良が、し言いにくそうにをいたのです。

「それとね……尚弥さん、まだご両親にお父さんの仕事のこと、詳しく話してないんだって」

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「え? どうして?」 私が聞き返すと、紗良は困ったように眉をげました。

「ちょっと言いづらいみたいで。尚弥さんのお母さん、し世体を気にするタイプのらしくて……」

私は言葉に詰まりました。 娘の父親の職業を、もって親に言えない。 その事実の裏にある何かが、私のにさな棘のように刺さりました。

けれど、夫はのんびりとした調子でお茶をすすりながら言いました。

「別に、隠すような仕事でもないがな。向こうのには向こうの都があるんだろう。気にするな」

「お父さん、らないの?」 紗良が恐る恐る尋ねると、夫はカラカラと笑いました。

「る理由がないだろ。紗良が選んだ男なんだから、俺は信じるよ」

紗良は嬉しそうに微笑み、私も胸を撫でろしました。 夫はいつもこうでした。 の評価に振り回されず、物事の芯だけを静かに見つめるでした。

けれど、このの私はまだらなかったのです。 尚弥さんの「言いづらい」という言葉の裏に、どれほど歪んだ惑が潜んでいたのかを。

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