"母の農地を狙う夫と離婚――元義母が見た光景" 第2話
甘い汁と歪んだ自
夫の暴は、それだけでは終わらなかった。
数の昼がり、台所で夕飯のごしらえをしていた奈津美のスマートフォンが鳴った。画面に表示されたのは、義母・川幸恵の名だった。
嫌な予を抱きながら通話ボタンを押すと、受話器の向こうから、どこかを馬鹿にしたような、ねっとりとした甘い声が流れてきた。
『奈津美さん? 聞いたわよ。が会社できなプロジェクトを任されて変なに、実のの協力を渋ってるんですって?』
が母親に泣きついたのだと、すぐに分かった。自分の見通しの甘さを隠すため、妻が頑なで協力してくれないと愚痴をこぼしたに違いなかった。
「お義母さん、あれは母の切な活の基盤です。会社の事業の担保に差しすような話ではありません」
『あら、たいのねぇ。族なのに臭いじゃないの。あのだってね、いずれあなたたちの子供に相続されるものなんでしょう? 川の孫の財産になるんだから、今のうちに父親の世のために効活用してあげるのが、妻としてのいやりってもんじゃないの?』
あまりの勝な論理に、奈津美は持っていた菜箸をく握りしめた。
「私たちにはまだ子供はいません。それに、母は今も元気で農業を続けています。
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勝に遺産のような扱いをしないでください」
『まあ! お義母さんに向かってなんての利き方をするの! 田舎の農を都会の企業が引きててあげるって言ってるのに、恩を仇で返す気かい!?』
ガチャリと、奈津美はできずに通話を切った。
受話器の向こうの義母が、なぜここまで横柄に妻の実を見せるのか。それには、数の苦い来事が関係していた。
結婚してもない頃、チェーンで産直送フェアを企画していたが、「実の方で規格の野菜をく融通してくれる農はないか」と泣きついてきたことがあった。
奈津美は母のに相談し、所の真面目な農件を紹介した。
しかしが提示した買い取り価格は、農のを考えれば赤字にいひどいものだった。交渉が決裂しかけた、品流通の識を持っていた奈津美がに入り、選別の基準を段階に分け、加用や直売所用と振り分ける仕組みを提案して、なんとか契約を成させたのだ。
結果として、実の野菜を使ったメニューはヒットし、は社内できな柄をてた。
ところが、そのの正に親戚が集まった席で、義母の幸恵はらかにこう言い放ったのだ。
『うちのは本当にけい子でね。嫁の田舎の貧しい農が困っているのを見かねて、うちの会社で買い取って救ってやってるのよ』
親戚たちが「さすがくんだ」
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「派だなあ」と褒めそやす、はお酒をみながら、否定するどころか誇らしげに頷いていた。
『まあ、仕事ですからね。助けてやれるならとって』
帰りの内で、奈津美は激しく抗議した。
『私が助けたと言ってほしいわけじゃないわ。でも、あなたが農を救ったみたいな嘘は事実と違うでしょう! 母たちが聞いたらどううの!』
しかしは、へらへらと笑いながらこう言っただけだった。
『母さんはしげさなだけだよ。次はちゃんと言っておくから、そんなに目くじらてるなよ』
その「次」など、度も来なかった。
夫がついたさな見栄の嘘を、母親が真実だとい込み、やがて妻の実全体を「自分たちが施しを与えている格の」として見す怪物へと育てげていったのだ。
すべては、夫の卑怯な沈黙がみした歪みだった。