"倒産寸前の事務所が雇った、子連れ清掃員の正体" 第10話
のの断罪
「佐伯副部。自らその話題を持ちしていただき、謝いたします」
さち子の落ち着き払った声が、マイクを通じてホール全体を静まり返らせた。
巨スクリーンに映しされたのは、設計図面ではなく、国交省および警察庁の子公文受領画面、そして数通の内部告発資料だった。
「な……何だ、それは!?」佐伯の顔から血の気が引いていく。
「の落事故に関する、再調査報告です。すでに本午、国交通省の特別全監察チーム、および警庁捜査課に対し、正規の告発状と全証拠データが受理されました」
スクリーンが切り替わり、の「正規の設計図面」と、佐伯が独断で差し替えた「改ざん指示」のメールログが並べて拡表示された。
『発信者:帝都総都発 佐伯隆志。受信者:協属業。指示内容:瀬チーフ指定の特注SUS316ボルトをキャンセルし、規格メッキボルトへ変更。差額分百万円は裏プールへ回すこと』
逃れようのない、かぬ証拠。
「貴様……! どこからそんなものを持ちした! それは社秘だぞ!」
取り乱して絶叫する佐伯の姿そのものが、自らの罪を何よりも雄弁に認めていた。
審査員席のデベロッパー役員たちが蒼になり、帝都総都発の担当常務がを抱えて座り込んだ。
「佐伯さん。
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あなたが私から奪ったのは、私のキャリアだけではありません」
さち子は壇から、佐伯を真っ直ぐに見据えた。その瞳には、私怨を超えた、建築に携わる者としての厳格なりが宿っていた。
「あなたが全を軽し、正にを染めたことで、あの空を信頼して歩いていた何百もの民の命が危険に晒されたのです。全を偽る者に、建築を語る資格はありません!」
バチバチバチ……!
静寂を破ったのは、審査委員の拍子だった。それがやがて、会全体を揺るがす嵐のような拍と歓声へと変わっていった。
そのの夕方。コンペの最終結果が事務局より公式に発表された。
『最優秀採用作品:桐デザイン事務所・瀬建築設計共同企業体』
審査員の講評には、こう記されていた。
『空の美しさ、利用者の尊厳に対する徹底した配慮、そして何よりも、命を守る技術に対する絶対な誠実さにおいて、群を抜く満致の選であった』
コンペ会のロビーをたところで、佐伯は待ち受けていた警庁の捜査員たちに取り囲まれていた。業務過失傷害の教唆、および私文偽造・同使の容疑。
錠をかけられ、連されていくかつての司のろ姿を、さち子は度も見送ることはしなかった。彼女の線はすでに、しくまれ変わるの青空へと向けられていた。