"倒産寸前の事務所が雇った、子連れ清掃員の正体" 第9話
決戦の公プレゼンテーション
コンペの最終審査会となった都内の国際会議ホールには、たい緊張が張り詰めていた。壇に並ぶ審査員席には、建築界の鎮たる学教授たちや、発母体である鉄系デベロッパーの首脳陣が顔を揃えていた。
参加企業は全社。国内トップクラスの組織設計事務所が最のCGパースを駆使してプレゼンを終える、番目に登壇したのが、佐伯率いる帝都総都発のチームだった。
型スクリーンに映しされたのは、全面ガラス張りのな巨アトリウム。圧倒なスケールと豪華な商業テナントのラインナップに、審査員たちから嘆のざわめきが漏れた。
プレゼンを終え、演台をりてきた佐伯が、控の通で待していた俺たちのでち止まった。
その元には、歪んだ嘲笑が張り付いていた。
「おいおい、本当にエントリーしてきたのか、負け犬どもが。……の程をれよ。をて落ちぶれた子連れ清掃員と、部のデザインを盗んだ科者のデザイナーが作った模型など、審査員の笑いぐさにしかならんわ」
「佐伯さん」さち子は歩も引かず、徹な声で返した。「あなたのその豪華な図面、今度はどこのボルトを削って利益を捻するおつもりですか?」
佐伯の顔が瞬にして潮し、鏡の奥の目が吊りがった。
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「貴様……! 負け惜しみを吠えるのも今のうちだ。審査が終わった、貴様らが度とこの業界で息ができないようにしてやる!」
「最終プレゼンテーション、エントリーナンバー番。桐デザイン事務所・瀬建築設計共同企業体、壇へどうぞ」
アナウンスが響いた。
俺とさち子は並んで呼吸をし、い扉をけて射すステージへとを踏みした。
会の線が斉に注がれる。壇に置かれた分のの模型のベールを取り払った瞬、審査員席の空気が微かに揺れた。きらびやかなCGで飾られた社の案とは根本に異なる、の息遣いと温もりが宿った、圧倒な密度を誇る模型。
「ご説申しげます」
演台のマイクのにったのは、さち子だった。その声は、かつて事務所の隅で震えていた女性のものとはえないほど、凛として力く、ホールの隅々まで響き渡った。
「私たちが提案するのは、流の先端を追うだけの消費空ではありません。、百も、このの々が互いを見失わずに集い続けられる『広としての建築』です」
さち子は美咲の目線を起点とした空構造、子とベビーカーがストレスなく交差する歩線、そしてによる塩害を完璧に防ぎつつ自然換気を促すパッシブデザインの神髄を、流れるような論理で語り尽くした。
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俺はスクリーンを操作し、との流れ、そして訪れる々が直にを覚えるサイングラフィックのシミュレーションを展していった。
質疑応答のになると、審査委員を務める本建築学会の名誉教授がを乗りした。
「素らしい……。匠の美しさもさることながら、構造部材の選定と応力計算の緻密さに驚かされた。特に、赤レンガの耐震補とガラスファサードの接部における免震クリアランスの設計は、完璧というない。瀬さん、あなたほどの腕を持つ建築士が、なぜ今まで埋もれていたのですか?」
その問いが投げかけられた瞬だった。
会の方から、バン!と机を叩く乱暴な音が響き渡った。
「審査委員、お待ちください!」
ちがったのは、佐伯だった。顔を真っ赤にし、指をさち子に向けて叫んだ。
「その女のプレゼンに騙されてはいけません! その瀬さち子は、私が担当した商業施設でな落事故を引き起こし、業界を追放された科者です! そんな危険な物に、公共性のい事業を任せるなど、言語断です!」
会内が蜂の巣をつついたような混乱に陥った。審査員たちが顔を見わせ、ざわざわと揺が広がる。
佐伯は勝ち誇った笑みを浮かべ、壇のさち子を睨みつけた。
だが——さち子は、歩もじなかった。
彼女は静かに演台のパソコンにを伸ばし、スクリーンの映像を切り替えた。