"倒産寸前の事務所が雇った、子連れ清掃員の正体" 第7話
の初めにさち子が見つけ、俺が反射に「触るな」と制止した、あの箱だった。
ガムテープを引き剥がし、から分いファイルを取りす。そこには、数に俺がちげ、業界の登竜とされるデザインアワードに品するはずだった、型リゾートホテルの総ブランディング計画が眠っていた。
「俺もね、裏切られたんです。塩にかけて育てていた番弟子が、競のデザインファームへ引き抜かれた直、俺のスケッチブックと全く同じ匠が、その競社の名義で々に発表された。向こうが週く公表したというだけで、業界内では『桐が部のアイデアを盗用した』という噂が流された。誰も俺の釈を聞いちゃくれなかった。取引先は潮が引くようにり、仲もれ、俺はこの事務所で、傷つかないための無難なデザインだけを描く腑抜けになった」
さち子は息を呑み、俺の差しした制作ノートを見つめた。そこには、何枚もの初期スケッチ、付の入った修正履歴、そして苦悩の跡がびっしりと刻まれていた。
「あなたと同じですよ、瀬さん。俺たちはとも、信じていた世界に背から刺されて、鉛を握るのが怖くなった臆病者だ。……でも、美咲ちゃんが俺のボツ案を『好き』と言ってくれた、そしてあなたがカフェの図面にあの鮮やかな線を引いてくれた、俺はいしたんです。
ものを作るびを、誰かの暮らしを豊かにするデザインの力を」
俺はさち子に向かって、を差しした。
「奪われた誇りを取り戻しましょう。あなたの無実を証し、俺の過を清算する。そのために、の力をわせませんか」
さち子は震えるで涙を拭い、ゆっくりとちがった。そして、作業の袖を引いて、俺のを力く握り返した。
「はい……! 私、もう逃げません。美咲に、胸を張れる母親に戻りたいです!」
事務所のさな空に、確かな反撃の蓋が切って落とされた。