"倒産寸前の事務所が雇った、子連れ清掃員の正体" 第6話
封印されたアーカイブと反撃の狼煙
に散らばった改ざん図面をに、事務所のは苦しい沈黙に包まれていた。さち子は膝をついたまま、自分ののひらを見つめて震えていた。そのは、かつて数え切れないほどの美しい建築をのに描きし、そして理尽な汚名を着せられて鉛を奪われただった。
「ママ、だいじょうぶ?」
美咲がさな両で、さち子のえ切った指先を包み込んだ。歳の娘の温もりに触れた瞬、さち子の瞳から再び粒の涙がこぼれ落ちた。
「ごめんね、美咲……けないママでごめんね……」
「瀬さん」
俺はしゃがみ込み、の図面を枚ずつ丁寧に拾い集めた。佐伯が投げ捨てていったその図面には、確かに自然な跡で修正液が塗られ、から異なるロット番号のボルト仕様がき殴られていた。素目には見逃してしまうようなさな記号の差異。だが、構造力学の基礎を理解しているが見れば、耐荷計算と支持部材の度が致命に破綻していることはだった。
「泣く必なんてどこにもありません。あなたは誰も殺しかけてなんかいなかった。悪いのは、全をで売り払い、部に責任を擦り付けた連だ」
「でも……今さら何を言っても、発会社が組織ぐるみで隠蔽したことです。私ひとりの証言なんて、握りつぶされるに決まっています……」
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「ひとりじゃありません」
俺はく言った。
「俺がいます。それに、あなた自が描いた当の『本物の図面』データは、本当にどこにも残っていないんですか?」
さち子がハッと顔をげた。
「……当の会社のサーバーからは、私のアカウントごと消されました。でも、自宅の古いバックアップ用付けハードディスクに、提の最終データが暗号化されたまま残っているかもしれません。ただ、パスワードは当の社内ネットワークと連していて……」
「解析しましょう。俺のりいに、デジタルフォレンジックを専にしている優秀なシステムエンジニアがいます。退職のデータ正持ちしに問われないよう、法な順を踏んで証拠保全をえば、国交省の監査窓に直接提できる決定打になる」
さち子の目に、消えかけていたが宿り始めた。
「桐さん……どうして、そこまでしてくださるんですか。私はただの、千百円の清掃員として雇われただけなのに」
「俺自の復讐でもあるんですよ」
俺はちがり、スチールラックの最段に押し込んであった、埃をかぶった古い段ボール箱を引きした。