"60日間見舞いゼロの夫、退院した妻に600万円を要求" 第10話
退院の朝ときした秒針
、曜の朝。
京の空は、つない見事なれが広がっていた。
涼な朝のが、病のいシーツを眩しく照らししている。
午、主治医による最の聴診と退院診察がわれた。
「野さん、図も血液検査の数値も極めて定しています。本当によく頑張られましたね」
初老の主治医が、カルテを閉じながら温かな笑顔を向けてくれた。
「ただし、胸術の傷と筋のダメージは、完全に消えたわけではありません。退院されても、決して無理はなさらないでください。ご族にもしっかり甘えて、静養してくださいね」
「……ありがとうございます、先。先方のおかげで、拾った命です」
私は々とをげた。
族に甘える――その言葉の虚しさは、もはや私のを傷つけることはなかった。
甘えるべき族など、最初からしなかったのだ。
したのは、駆除すべき寄虫だけである。
主治医がった、私はさなボストンバッグを肩にかけ、を過ごした病の扉にをかけた。
振り返ることはしなかった。
未練も、傷も、何つ残されていない。
正面玄関をると、凍てつくようなのが、私の頬を鋭く撫でていった。
コートの内ポケットには、ずっしりとした純の総帥印が収まっている。
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病院のタクシー乗りへ向かい、待していた黒塗りのタクシーの部座席に乗り込んだ。
「どちらまでかれますか?」
「港区の、麻布丁目までお願いします」
運転に告げると、は静かに滑りした。
窓を流れる、見慣れた京の並み。
ぶりに見るの世界は、驚くほど鮮やかで、そしてどこまでも徹だった。
スマートフォンを取りすと、からの暗号化通信が入っていた。
『総帥、帝都メガバンクの取、ならびに京裁の執官チーム、警庁捜査課の捜査両台が、麻布の邸宅からブロックれたにて待完いたしました。タイマーは午ジャストにセットされております』
私は画面をタップし、く返信した。
『解。予定通り、に突入させなさい』
タクシーは首都速を抜け、広尾から栖川宮記公園の脇を通り、麻布の閑静な級宅へと入っていった。
いコンクリート打ち放しの塀と、威圧な黒い鉄製ゲート。
私が億円の個資産で購入し、剛田に社宅として貸し与えていた、あの豪邸が見えてきた。
寄せには、達也が会社の経費を正流用して買い替えたばかりの、のポルシェ・パナメーラがが物顔でめられていた。
そして、扉の脇には、義妹の真由美の真っ赤なミニクーパー。
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妻が線を越えて退院してくるというのに、誰として迎えのをす気など毛なく、のでぬくぬくとワインをんでいるのだ。
計の針は、午分を指していた。
処刑のまで、あと分。
私は運転に運賃を支払い、タクシーをりた。
さなボストンバッグを肩にかけ、コートのをしっかりとわせる。
扉のオートロックに暗証番号を打ち込むと、カチャリとな解錠音が響いた。
入れのき届いた庭を抜け、巨な玄関ドアのにつ。
インターホンは押さない。
私は自らの鍵をシリンダーに差し込み、静かに、音もなくドアノブを回した。
から漏れ聞こえてくるのは、けたたましい笑い声と、シャンパングラスが触れう軽やかな音。
私は酷な笑みを元に浮かべ、獄への扉を、自らので押しいた。